図書カード:野狐

作品名: 野狐
作品名読み: やこ
著者名:
田中 英光 

この作品を今すぐ読む

作品データ

分類: NDC 913
初出: 「知識人」1949(昭和24)年5月
作品について: 初出は1949(昭和24)年5月「知識人」。田中英光は、早稲田大学在学中に漕艇選手として活躍し、1932(昭和7)年のロサンゼルスオリンピックに出場する、この体験は後に「オリンポスの果実」1940(昭和15)年として結実する。敗戦後、共産党に入党し地区活動等をするが、後に離党し革命運動を批判した小説を発表。その後、この「野狐」に描かれた「たいへんな女」と同棲し、太宰治の自殺にショックを受け、酒と女と薬(アドルム、カルモチン)に溺れた放蕩生活を送る。「野狐」はこんな生活を描いた私小説作品である。作中「百丈野狐」の公案から題名が採られている、作者は書く「ただ懸命に人生を生きぬき、修行しさえすれば、よい作家になれると単純に信じている私に、この公案が、(あきらめよ、わが心、けだもの、眠りを眠れ)と話しかけるのである」、そして「私は永遠に野狐であるらしい。」で小説は終わる。悟りに至れぬ(野狐禅の)破滅的な生活の記録である。(kompass)
文字遣い種別: 新字新仮名
備考: この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫)

作家データ

分類: 著者
作家名: 田中 英光
作家名読み: たなか ひでみつ
ローマ字表記: Tanaka Hidemitsu
生年: 1913-01-10
没年: 1949-11-03
人物について: 東京市赤坂区榎坂町生まれ。早稲田大学在学中、第10回オリンピックにボートの日本代表として参加。その時に『オリンポスの果実』に登場する「熊本秋子」のモデルとなった走り高跳び選手の相良八重と知り合う。在学中に友人たちと始めた同人誌「非望」に『急行列車』、『空吹く風』を発表。『空吹く風』は太宰治に好意的に批評される。1940(昭和15)年、「文学界」に『オリンポスの果実』を発表。1948(昭和23)年5月、「芸術」に『地下室から』を発表するが、翌月の太宰治自殺に大きな衝撃を受け、睡眠薬に溺れていく。1949(昭和24)年11月3日、三鷹禅林寺の太宰治の墓前で自殺。翌月遺稿集『さよなら』、『酔いどれ船』が刊行された。(白色ワセリン)wikipediaアイコン田中英光

底本データ

底本: 昭和文学全集 第32巻
出版社: 小学館
初版発行日: 1989(平成元)年8月1日
校正に使用: 1989(平成元)年8月1日初版
底本の親本: 田中英光全集 第7巻
出版社: 芳賀書店
初版発行日: 1965(昭和40)年

工作員データ

入力: kompass
校正: 林幸雄