図書カード:お末の死

作品名: お末の死
作品名読み: おすえのし
著者名:
有島 武郎 

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作品データ

分類: NDC 913
初出: 「白樺」1914(大正3)年1月
作品について:  有島武郎の東北帝国大学農科大学(旧札幌農学校)の教授時代の作品である。
 有島武郎は、教授をつとめるかたわら、遠友夜学校で無給の教師をつとめていた。遠友夜学校とは、新渡戸稲造が札幌に設立した、貧しい家庭の子どもたちに無料で学びの場を提供する夜学校である。当時、小学校教育はすでに義務化されていたが、生活のために働かねばならぬ子どもも多かった。昼間は働き、夜、この遠友夜学校に集まり、50年間で約5,000人が学んだという。新渡戸稲造の友人や札幌農学校の学生など有志が遠友夜学校の教壇に立ち、無報酬で教師役をつとめた。
 有島武郎は、札幌農学校の学生であったときからボランティアとして遠友夜学校にかかわっており、夜学校で教鞭をとる教師の一人であった。
 この遠友夜学校の生徒であった瀬川末が、この作品「お末の死」の主人公のモデルかとされている。瀬川末は、家庭の事情から若くして働くことを余儀なくされ、運命に翻弄されたあげく、大正2年に自殺した少女である。
 ちなみに、魯迅はこの作品を中国語訳し、『現代日本小説集』に収めて出版している。(mono)
文字遣い種別: 新字旧仮名
備考: 「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記を新字旧仮名にあらためました。
この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫)

作家データ

分類: 著者
作家名: 有島 武郎
作家名読み: ありしま たけお
ローマ字表記: Arishima Takeo
生年: 1878-03-04
没年: 1923-06-09
人物について: 1878年3月4日、東京小石川水道町に生まれる。東北帝大農科大学で教鞭を執るかたわら、1910年「白樺」に同人として参加。『かんかん虫』『在る女のグリンプス』などを発表する。1916年、結核を病んでいた妻が死に、さらに父が亡くなったことから教鞭を辞し、本格的に文学生活に入る。『或る女』『カインの末裔』『生れ出づる悩み』などが代表作。1923年6月9日、人妻の波多野秋子と軽井沢の別荘浄月庵にて情死。
wikipediaアイコン有島武郎

底本データ

底本: 三代名作全集・有島武郎集
出版社: 河出書房
初版発行日: 1942(昭和17)年12月15日
入力に使用: 1942(昭和17)年12月15日初版
校正に使用: 1942(昭和17)年12月15日初版 

工作員データ

入力: mono
校正: 松永佳代