NDC K953 |
「新青年 (第二巻第九號)夏季増刊」1921(大正10)年8月 |
大正10年の「新青年」に一挙掲載された無署名の訳稿。完訳ではなく抄訳であり、冒頭部分こそ忠実に文章を追いかけているが、第五章以降ものすごい勢いで筋が省略されていく。前半部分が翌年刊行の完訳『死の連判状』(保篠龍緒訳、金剛社)と共通点が少なからぬため、保篠の下訳を元に編輯局の別人がこの訳稿をまとめあげたものと推定される。その号の編集後記には森下雨村の筆で「一方に於て、相当読み応えのする作品をも一篇位は載せたいと思うていろいろ探した結果、ルブランの「水晶の栓」を採ることにした。この作はルブランの作中、最も傑作と称せらるるもので、多少の省略は加えたが、それでも当初の予定を超過して原稿紙二百余枚、正に一冊の刊行書に匹敵する長篇である。尤もこの作は曾て邦訳されたことがあるが、それは総て日本名に当て嵌めたもので、真のアルセーヌ・ルパンの愛読者にとっては全然興味がないことを思うて、それに顧慮することなく掲載した次第である」と付記されている。(京都大学電子テクスト研究会) |
新字新仮名 |
「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。 この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫)
|