わが思ふ
女ありやなしや。
まよわしきかな。
夕暮の窓にもたれて、
蒼白き息ふく
われも、またありやなしや。
あな、うたがわし。
蚊のなく声を、君がかなしき唄とや
きかむ。
柔風の木の葉にすがる、たわふれを、
君が鬢のほつれとやきかむ。
淋しき夕べの鐘もきこゆ。
森のかなた、君住む
墓の頭りにや
あらむ。
今なり、われは独りさ迷ひゆかむ!
夕べの鐘をしたひて
その音に耳を
静めて。
●表記について
- このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
- 「くの字点」をのぞくJIS X 0213にある文字は、画像化して埋め込みました。