戻る

あやどり

漢那浪笛




静けき海のかなた、

日影しのびいる、森の奥に、

彩鳥あやどりの声すと、きゝぬ。


その音は、裂けし白玉の

一片ひとはにも似て、

いささかの悲しみをやる。


いねがたき夏 南国!

浪のよるひるも、起きぶして、

いかばかり彩鳥あやどりの音のひしき。






底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会

   1991(平成3)年6月6日第1刷

初出:「沖縄毎日新聞」

   1911(明治44)年6月2日

※初出時の署名は「浪笛生」です。

※初出の新聞で作品名として扱われている「あやどり」を表題としました。

※表題は、底本では「南の友へ【二】」の見出しの次の行に、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。

入力:坂本真一

校正:良本典代

2017年3月11日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。





●表記について



●図書カード