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平野義太郎宛書簡

一九三三年三月

野呂栄太郎




その後は講座のことも、四半期報のことも全く放棄の形で何とも申訳ございません。またまた十日ばかり前から盲腸炎を再発致しましたので、また当分絶対安静を余儀なくされてしまいました。講座及び「資本論」の方何卒よろしく御願いします。私担当分の講座原稿は一応の準備ができておりますから臥床がしょう中執筆、第六回配本に間に合わすよういたします。

なお帯刀貞代氏(旧姓織本氏)から同封のような御手紙が参りましたが、私は右様な事情で早速の間に合いかねますので、はなはだ恐縮に存じますが、代って御返事を煩わす訳には参りませんでしょうか? もし御差支ある際は病中代筆なる旨記して私の名でもよろしうございますから。はなはだ勝手ながらよろしく御願い申し上げます。

時節柄先生にも御健康のほど祈ります。

敬具

栄太郎拝

   平野様

     御侍史






底本:「野呂栄太郎全集 下」新日本出版社


   1994(平成6)年12月5日初版

※作品名は、便宜を考慮して、入力時に新たに付したものです。

入力:山田剛

校正:土屋隆

2005年3月19日作成

青空文庫作成ファイル:

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