シルクハツトと洋服と、
きれいな きれいな かたかけと、
ステツキもつてる かかしさん。
にはとりさんが
やつてきて、
コケ、コケ、
ステツキを けとばした。
コツ、コツ、コケ、コケ、
コケ、コツ、コケ。
にはとりさんは かなしかろ、
シルクハツトも かたかけも、
洋服も ステツキも もつてない。
にはとりさんが 言ふことに、
「シルクハツトと 洋服さん、
ステツキさんと かたかけさん、
あいつはなんだ、かゝしめだ。
かかしのくせに なまいきだ。」
これきいて よろこんだ
ひよつこさん、
ピヨ ピヨ ピヨ ピヨ
はねてきて、
かかしのステツキを けとばした
ピヨ ピヨ コツ コツ
ピヨ コツ ピヨ。
にはとりさんと ひよつこさん、
はたけの たねを ほじくりだす、
コツ、コツ、コツ、コツ、
ほじくりだす。
ひやくしやうさんが やつてきて
おめめ ぱちぱち おどろいた。
ひやくしやうさんが いふことに、
「おまへは それでも かかしかい。
なまけかかしめ みておいで。
いまに どうするか、
まつてゐろ。」
シルクハツトと 洋服と、
きれいな かたかけと ステツキは
ブル、ブル、ブル、ブル、
ブル、ブル、ブル。
こわくて ふるへる、
ブル、ブル、ブル。
にはとりさんと ひよつこさん、
ピヨ、ピヨ、コケ、コケ、
ほじくつた。
まだ まだ ほじくる、
まだ ほじくる、
はたけの たねを
まだ ほじくる。
これみて おこつた
ひやくしやうさん
「いたづらにはとり
ひよつこめ。」
かかしの ステツキを ふりあげた。
そのとき ふいに よるがきた。
にはとりさんも、ひよつこさん、
どこに どうして ゐるのやら、
さつぱり みえなく なつちやつた。
そこで よろこんだ にはとりさん
ひよつこさんは ピヨ、ピヨ、ピヨ。
コケ、コケ、ピヨ、ピヨ、
コケ、ピヨ、コケ。
シルクハツトも 洋服も
きれいな きれいな かたかけも、
むね なでおろして よろこんだ。
かかしの
おとうさんが
やつてきて、
かかしを
つれて
いつちやつた。
くわいちゆう
でんとうを
ひからせて、
にはとりの
おとうさんが
やつてきた。
にはとりさんと
ひよつこさん、
ピヨ、ピヨ、
コケ、コケ、
いつちやつた。
ひやくしやうの
おとうさんが
やつてきて
「なにを ぐづぐづ
してるだよ。」
ひやくしやうさん
つれて いつちやつた。
そこで
あかるくなつたとさ。
これで おしまひ
さようなら。
●表記について
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