あるところにお
けれども、二人があんまり自慢するので、初めのうちは、
「まあ、御立派なおヒゲでございますこと。」と会ふたびに言つてゐたお友達も、このごろでは、腹を立てて、何とも云つてくれません。
「ねえ、
「あんまり、きれいに光りすぎるのでまぶしくつて、誰の目にも見えないんでせうよ。お日様みたいにね。」と言ひました。
「ぢや、今日から、少し汚しとかうね。さうすりや、誰の目にもつくからね。」とお猫さんは言ひました。
汚くなつたおヒゲを見て、お友達は言ひました。
「まあ、おヒゲが大変おきたなくなりましたこと。」
二人は
「お前は何といふ
お猫さんはどなりました。おかみさんは泣きました。
しかし、けんくわをしてゐてもつまりません。二人は、もつともつと人の目につくやうにするのにはどうしたらよいかと相談しました。五時間も考へたあげ句、お猫さんはかう言ひました。
「さあ、早く行つて、かみそりを買つておいで!
おかみさんはかみそりを買つて来ました。二人はいたいのを我慢して、身体の毛をそり落しました。そして鏡を見ました。
「ああ、何て、私たちのおヒゲは立派なんでせう。」とおかみさんは言ひました。お猫さんは、
「どんなもんだい、僕の考へのよさは······」と言ひも終わらないうちに、
「ハクシヨ||ン」と、くしやみをしました。
二人はその場で風邪をひきました。そして、毛の生えそろふまで、病院へ入院しました。