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日記

一九四九年(昭和二十四年)

宮本百合子




 休日

 このごろ日曜は完全休日にする。


 仕事


  ※(二の字点、1-2-22)


  ※(二の字点、1-2-22)


 仕事、治療。


 仕事、大森さん開成山へゆく。


 仕事。


 休日

 このごろ、バレーボールがはじまった。宮、古村、咲、熱血キャーキャーワーワー。我を忘れて見物。宇佐美、青い服、遊んで桃色に見える手や足、若葉 古村のしゃれ。なかなかおもしろい。


 仕事。

 ずっとつけていた黒い手帖が見えなくなってしまった。惜しい。しかたがないからまたでて来るまでこれにつける。仕事今月は百枚突破のヨテイ。


 小説一〇三枚になった。


 政治局と新日本文学、文化部その他の合同会議、党員芸術家会議うち合わせで、To が宮本百合子の作品の大悪口を云った由。


七月一日

(金)

 あんまりむちゃで殆ど基本的人権をふみにじっているから抗議をかいた。(下がき)

 大森寿恵子とまる。


七月二日

(土)

 四部コピーをとって、一部 To、文化、新日本文学におくる。


七月三日

(日)

 党員芸術家会議、前進座、宮、出席、大村(今日これをよむのかね)(次第によっては、ね)クラ、(百合子さんのをよんだか。話が出たらよまなくてはなるまい)Nish(ヤーきょうは宮本百合子のことは話さんよ)

 どうして To が話すか話さないか知っているのだろう。


七月五日

(火)

 宮、治療

 国鉄総裁下山行方不明、いかにも Com が暴力をふるったように扱っている。


七月六日

(水)

 To のおかげで仕事を八日も棒にふってしまった。


七月七日

(木)

 下山、おかしいところで、ひかれている。この辺に女がある(自分)自殺説をつよく感じる。


七月九日

(土)

 治療


 小説88枚(第二章わたす)

 宮自由病院でしらべ、幽門にひきつれ(痕跡)があるだけという。政治局員に、まわしよみをさせている由、おどろき入ったもの。






底本:「宮本百合子全集 第二十五巻」新日本出版社

   1981(昭和56)年7月30日初版

   1986(昭和61)年3月20日第4刷

入力:柴田卓治

校正:富田晶子

2020年1月24日作成

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