お
ある日お磯は、牧場へ
······つうばな つうばな
一枝折っては帯にさし
二枝折っては髪にさし······
茅花が、両手に一ぱいになったとき、お磯は人形に言うのでした。二枝折っては髪にさし······
「あなたは
お
······三枝がさきに日が暮れて
かみの庄屋 が泊ろうか
なかの庄屋で宿とろか
しもの庄屋へ泊ったら······
お磯は、そう歌いながらなかの庄屋で宿とろか
しもの庄屋へ泊ったら······
「あたしの坊やどこにいる?」
いくら呼んでも返事がありません。そのうちに太陽は、ずんずん、お山の向うへ帰ってしまいました。
「まあここにいたの、磯ちゃん、さ帰りましょう」お
「だって、あたしのお人形が見えないんですもの」
お磯はそう言って、姉さんと一緒に探しましたけれど、矢張人形は見つかりませんでした。
「あしたまた姉さんと探しにきましょうね。そしたらお日さまが手伝って探して下さるわ。ね」
姉さんにそう言われて、お磯もあきらめて、お家の方へ帰りました。
「もしか、お人形が、
お磯はそれが心配でした。
けれど、人買もお化も連れてゆきませんでした。長い草は
日が暮れると、一番に出る青い星が、森の上へ出てぴかぴか光りました。
······お星さん お星さん
ひとつぼしで出ぬもんじゃ
千も万も出るもんじゃ
遠くの方で男の千も万も出るもんじゃ
「どうなることだろう」
人形はもう泣き出しそうになりました。
······リイリイリイ······
近くの草のなかで、鈴虫が鳴きだしました。人形は大喜びで、「鈴虫さん、あたしをお嬢さんのとこへ連れていって
とたのみました。
「おや、お人形さん。あなたおいてけぼりになったの。でも、あたしお嬢さんのお
······クララ クララ······
川の「蛙さん、まだ夜はあけないの」
「おいらは知らないね。お日様が出たらきいて見な。クララクララ」蛙は、つっけんどんにそう言って、ずぼんと川の中へ飛込みました。
人形は泣きながら、さみしい夜の明けるのを待っていました。
やっと夜が明けて、近くでチョキンチョキンと
「おじさん、あたしのお人形を見なかって?」
そう言っているのは、お嬢さんの声だと、人形はおもいました。
「さあ、わしはまだ見ないが」
番人はそう言ってだんだん人形の近くまで刈ってきました。
「はやく刈って頂戴ね。おじさん」
お嬢さんも、人形も気が気ではありません。そのうちに、
「そうら、いたいた」
番人が言いました。
「まあ! あたしの坊や!」
お