二回目平林氏の作中、舟木新太郎と
想像される人間が、貼紙をして立ち去った件は、どうにも解釈に苦しみました。つまり、どう
夫れを受けついで、どう展開してよいものかと苦しんだ訳です。
四回目甲賀氏の作に
就いては、既にマイクロフォンで春生氏が指摘して居りましたが、艶子の親と西村との関係を、探偵することによって結び付けず、作者が説明して
了ったのは
些か探偵小説の約束を破った感があって
鳥渡私には変に思われました。フロイドの精神分析を持ち出した以上、それであれだけの関係を発見すべきだと思います。何んのお世辞無く、一回目江戸川氏の作と三回目森下氏の作からは、私としては欠点を
目附け出すことは出来ませんでした。作全体として各人物の性格がハッキリしなかったのは合作としては止むを得ないことでしょうが不満と云えば不満とも云えます。しめくくりをする小酒井氏の作を読んでいない現在にあっては
是以上申し上げることも無さそうです。牧逸馬、本田緒生、横溝正史、城昌幸、水谷準諸氏の如き若手作家で再び合作をされては
如何?