(洋)金の勘定を仕ずに来た
三遊亭円朝
独逸の
名高い作者レツシングと
云ふ人は、
至つて
粗忽しい
方で、
其上法外に忘れツぽいから、
無闇に
金子や
何かゞ
失くなる、「
是は
何でも
下婢か
下男が
窃取るに
相違ない、一
番計略を
以て
試してやらう。と
云ふので、レツシング先生
或時、机の上へ
金銀をバラ/″\散らかしたまゝ、スーツと友達の
家へやつて
参り、レ「
此頃無闇に
金子が
失くなつて
仕やうが
無いから、これ/\
斯う
云ふ事にして
来た、
是で
誰が取ると
云ふのがチヤンと
解るね。友「へーえ、
夫は
旨い事を考へたが、
全体幾許置いて
来たんだ。レ「ア、
金の
勘定を
仕ずに
来た
······夫では
何にもなりませぬ。
●表記について
- このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
- 「くの字点」は「/\」で、「濁点付きくの字点」は「/″\」で表しました。