孔子は
恠力乱神を語らずといい給えども
左伝には多く怪異の事を
載せたり又
中庸に国家
将に
興らんとすれば
禎祥有り国家
将に
亡びんとすれば
妖
ありと云うを見れば世の中には不可思議無量の事なしと言い
難し
殊に
仏家の書には奇異の事を
出し
之を
方便となし
神通となして
衆生を
済度の
法とせり
是の篇に説く所の怪事も
亦凡夫の迷いを示して凡夫の迷いを去り正しき道に入らしむるの
栞とする
為めなれば事の虚実は
兎まれ
角まれ作者の心を用うる所の深きを知るべし
古道人