恋人よ、その
おまへの魂がいらいらするので、
そんな歌をうたひだすのだ。
しかもおまへはわがままに
親しい人だと歌つてきかせる。
ああ、それは
降りくる悲しみを少しもうけとめないで、
安易で架空な有頂天を幸福と感じ
自分を売る店を探して走り廻るとは、
なんと悲しく悲しいことだ······
神よ私をお憐み下さい!
私は弱いので、
悲しみに
生活を言葉に換へてしまひます。
そして堅くなりすぎるか
自堕落になりすぎるかしなければ、
自分を保つすべがないやうな
神よ私をお憐れみ下さい!
この私の弱い骨を、暖いトレモロで満たして下さい。
ああ神よ、私が先づ、自分自身であれるやう
日光と仕事とをお与へ下さい!
(一九二九・一・二〇)