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手紙

慶応元年十月十二日 印藤肇あて

坂本龍馬




二白、今夜も助大夫(ママ)とのみ呑ており申候。

昨夜道路中うかゞい候事件色々相考候所、何レ急成ハかへりて両方の志通じかね候ヘバ、何を申ても共に国家をうれへ候所より成立候論なれば、両方の意味が通達して両方から心配して其よろしきおへら(撰)み候方よろしく、そふなけれバ両方より道也、義也と論を吹合候よふニなれバ、かへりてがい(害)を生じ候べく、談笑中ニともに宜を求め候よふでなけれバ、とても大成ハなりがたくと奉存候。

何レ御深慮千万の中と奉存候。

右御報拝捧候。

十二日

印藤大兄足下

猶けふハ船の事大ニ御セ話被遣候。

御礼千万語言にかへかね候。

○いさ順助兄も唯今出崎時計御頼ニ候て御帰り被成候。

再拝※(二の字点、1-2-22)

印藤大将軍陣下

返報入






底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社

   2003(平成15)年12月10日第1刷発行

   2008(平成20)年9月19日第7刷発行

※底本手紙の写真のキャプションに、(京都大学附属図書館蔵)とあります。

※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。

※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。

入力:Yanajin33

校正:Hanren

2010年7月28日作成

2011年6月17日修正

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