池御一同
杉御一同
先日大坂ニい申候時ハ、誠に久しぶりにかぜ引もふし薬六ふく
計ものみたれバ、ゆへなくなをり申候。夫が京に参り居候所、又

昨夜よりねつありて今夜ねられ不
レ申、ふとあとさきおもいめぐらし候うち、私し出足のせつは皆々様ニも誠に御きづかいかけ候計と存じ、此ごろハ杉やのをばあさんハどのよふニなされてをるろふとも思ひ
定而、池のを
なんハいもばたけを
いのししがほりかへしたよふな、あとも先もなき
議論を、あねなどとこふじより、あせたしいうさるほねおりばなし、よめもともども
つバのみこみ、きくみゝたらずとふたつのみゝほぜくりあけてぞ、きかるべしなん。ある老人論じていう、女というものハ人にもよるけれど、高のしれたをんなめ、かの坂本の
をとめとやら、わるたくみをしそふなやつ、あまり/\
たらわぬ
ちゑでいらざる事まで
ろんじよると、すこしでもものしる人になれなれしくしたく、そふするうちになにとなく女の別もただしからぬよふニなりやすいものじや。なにぞききたくなると、男の方へたずね
ありくよふになり、かふいうと
そのやミタ、思ひあたる人があるろふ。かの女
れつじよでんなど見ると、誠に男女の別というものハたゞしい。男の心ニハ女よりハ
べして女がこひしい事もあるが、あの年わかい蔵太の玉のよふなるを
よめごを、なにぞふるき
わらぢのよふ思ひきりて、他国へでるも天下の為と思へバこそ、
議理となさけハ引にひかれず、又

こんども
海軍の修行、海軍のというハおふけなおふねをのりまはし、砲をうつたり、人きりたり、それハ/\おそろしい義理というものあれバこそ、ひとりの
をやをうちにをき、玉のよふなる妻ふりすて、
ひきのよふなる
あかごのできたに、
夫さへ見ずと
おけいとハ、いさましかりける次第なり、かしこ。
杉 御一同
池 御一同
あねにも御見せ。