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手紙

慶応三年二月十六日 三吉慎蔵あて

坂本龍馬




此頃出崎の土佐参政後藤庄次郎(象二郎)近頃の人物ニて候。内※(二の字点、1-2-22)御見置可成候も、よろしからんと存じ、さし出し候

慎老台

おうち様まで御頼申置

慎蔵先生 左右

龍馬


追白、此頃も相不変御いそがしきよしにて候。御出かけなどハ、御無用、其内又参上候。弟拝首。

此十日助太夫方まで帰り申候。折柄、満珠艦出帆の時にて、同人にも吉太夫ニも御目にかゝらず。

○此度ハ又※(二の字点、1-2-22)家内のおき所にこまりしより、勢止お得ず同行したり。此儀ハ飯田在番(ママ)ヘハ耳に入置たり。御聞置可遣候。

○長崎の勢ハ一向常ニ変りたる事なし。

○其内、土佐国の勢がよ程なおり、長崎ニ出たる参政後藤庄次(ママ)郎共、小弟に面会、十分議論致したりしに、大ニおもしろき勢、当年七八月の頃ニハ、土佐も立なおりて、昔日の長薩土となりハすまいかと相楽ミ申候。

○長崎ニて会津の家老神保修理に面会。会津ニハおもいがけぬ人物ニてありたり。

其時小弟ハ土佐人高坂龍次郎と申て出かけ、色々おかしき談ありしが、変りたる事なし。

十六日

龍馬






底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社

   2003(平成15)年12月10日第1刷発行

   2008(平成20)年9月19日第7刷発行

※底本本文の末尾に、(上田 三吉家文書)とあります。

※底本手紙の写真のキャプションに、(神奈川県立公文書館)とあります。

※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。

※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。

入力:Yanajin33

校正:Hanren

2010年7月28日作成

2011年6月17日修正

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