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手紙

慶応三年五月中旬 寺田屋伊助あて

坂本龍馬




拝啓。

益御安泰奉大賀候。然ニ私儀此頃老主人(山内容堂)よりよび帰しニ相成候て、国許ヘハ不帰、其まゝ長崎ニ於て、兼而召つれ候人数を御あづ(預)け被申ことにて、私おして海援隊長カイエンタイチヨウと申付、則長崎ニて一局がくもんじよナリを開キ諸生のセ話致し申候。此頃主人の用物を大坂ニ送り候道にて、備後箱の岬のおきニて紀州明光丸と申船蒸気船也が、私のの(ママ)船の横に乗掛候て、不計も私しの船ハ沈没仕候間ウミのそこにしづみたり、是より又長崎の方へ帰り申候。此度の事ハ紀州ハナニ故の勢にや、あまり無礼ブレイなる事ニて私の人数及便船かりなど鞆の港にほりあげ、主人の急用ありとて長崎の方へ出帆仕候。

船のものハ申ニ及バず便船かりも皆金も何も

(以下断欠)

伏見宝来橋京橋の回船宿

大浜濤次郎事

寺田屋伊助様
才谷梅太郎事

取巻抜六

御直披

遠目鏡一つ

時計 一面






底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社

   2003(平成15)年12月10日第1刷発行

   2008(平成20)年9月19日第7刷発行

※底本手紙の写真のキャプションに、(京都府立総合資料館蔵 京都府京都文化博物館管理)とあります。

※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。

※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。

入力:Yanajin33

校正:Hanren

2010年7月28日作成

2011年6月17日修正

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