一筆啓上仕候。益御安泰可
レ被
レ成
二御座
一愛度御儀奉
レ存候。
降而私儀無異乍
レ不
レ及国家之御為日夜尽力
罷在候。乍
二失敬
一御安慮可
二仰付
一候。然ニ先頃西郷より御送被
レ遣候吉行の刀、此頃出京ニも
常帯仕候。京地の刀剣家ニも見セ候所、皆粟田口忠綱位の
目利仕候。此頃毛利
荒次郎出京ニて此刀を見てしきりにほしがり、私しも兄の
賜なりとてホコリ候事ニて御座候。此頃出京役人ニも度

会し、国家ニ心配仕候人

ハ後藤象次郎、福岡藤次郎、佐々木三四郎、毛利荒次郎ニて、中ニも後藤を以て第一の同志致し、天下の苦楽を共ニ致し申候。御安心可
レ被
レ遣候。余事拝顔の時、万

申上候。恐惶謹言。
権平様
左右
追白
此度ハ取急候間、何もくハ敷ハ申不
レ遣候。京地の勢ハ大勢帰国仕候ものに御聞可
レ被
レ遣候。
私先頃
京京の道ニて
(四月廿三日之夜)中国海ニて、私しが蒸気船と紀州の蒸気船と突当り、私しの船が沈没仕候より、長崎へ帰り大
義論を発し、ついに紀州と一戦争可
レ仕と、私が部下のものへハ申聞、用意仕候内、紀州の方より薩州へ頼申、書キ物を以て勘定奉行らが断りに出かけ、日

手尽し候ものから其まゝニさしゆるし候事ニ仕候。
皆人の申候ニハ、此龍馬が船の論
なるや、日本の海路定則を定メたりとて、海船乗らハ聞に参り申候。
御笑可レ被レ遣候。
再拝。