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手紙

慶応三年九月初旬 佐々木高行あて

坂本龍馬




唯今長府の尼将軍、監軍熊野直助及二人、わらはお供し押来りて、吾右軍と戦ハんとす。かぶらやの音おびた(夥)しく、既ニ二階の手すりにおしかゝりたり。別ニ戦を期せし女軍(いまだきたらず)。思ふニ是ハ我ガをこたるを待つて虚を突かんとの謀ならんか。先ヅ吾レ先※(二の字点、1-2-22)の先を以て此方より使ヲはせ、或は自ら兵に将としておそふて、とりことし来らんかとも思へり。

将軍勇あり義あらバ、早く来りて一戦(し)、共にこゝ(ろ)よきお致さん。

先は卒報如此。謹言。

唯今


佐々木大将軍 陳下(ママ)
楳拝首






底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社

   2003(平成15)年12月10日第1刷発行

   2008(平成20)年9月19日第7刷発行

※底本手紙写真のキャプションに、(大洗町 幕末と明治の博物館蔵)とあります。

※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。

※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。

入力:Yanajin33

校正:Hanren

2010年8月26日作成

2011年6月17日修正

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