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手紙

慶応三年十月十日頃 後藤象二郎あて

坂本龍馬




去ル頃御(建)言書ニ国躰を一定し政度ヲ一新シ云々の御論被行候時ハ、先ヅ将軍職云云の御論は兼而も承り候。此余幕中の人情に不行もの一ヶ条在之候。其儀は江戸の銀座を京師ニうつし候事なり。此一ヶ条さへ被行候得バ、かへりて将軍職は其まゝにても、名ありて実なけれバ恐るゝにたらずと奉存候。此所に能々(よくよく)眼を御そゝぎ被成、不行と御見とめ被成候時は、(ママ)論中ニ於て何か証とすべき事を御認被成、けして破談とはならざるうち御国より兵をめし御自身は早※(二の字点、1-2-22)御引取 老侯(容堂)様に御報じ可然奉存候。破談とならざる内ニ云云は、兵を用るの術ニて御座候。謹言。

十月

楳 拝首

後藤先生

左右






底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社

   2003(平成15)年12月10日第1刷発行

   2008(平成20)年9月19日第7刷発行

※底本手紙写真のキャプションに、(中島家文書)とあります。

※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。

※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。

※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。

入力:Yanajin33

校正:Hanren

2010年10月9日作成

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