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手紙

慶応三年十月中旬 後藤象二郎あて

坂本龍馬




唯今田生に聞候得バ、小松(は)おふかた蒸気船より帰るろふとの事なり。思ふニ中島作太郎も急ニ、長崎へつかハし度。紀州の事をまつろふ。陸からなれバ、拾五金もやらねばならず。小弟(は)御国ニて五十金、官よりもらいしなり。夫お廿金人につかハし自ら拾金(ばかり)(か)い申、自分廿拾(ママ)金計持居申候。中島作につかハさんと思ふニよしなし。

(東京 静嘉堂文庫)

夫ニ三条侯の身内小沢庄次と申もの、小松(帯刀)のたよりに西ニ帰り度とのこと、

是ハ相談して京ニ止まらせ申度、先刻申上置候ものなり。

右のものも何か買ものも致し、又西行するに廿金かりてほしいと申候。

 但シ先生に。

是ハ先生のおぼしめし次第也。

実御気のどく申上かね候。よろしく。

其上ヱ小松へ御聞合(つかはされ)一人同船蒸気船の儀、御頼可遣度(ママ)願候。

但、中島長崎へつかハす為。

後藤先生

才谷

左右






底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社

   2003(平成15)年12月10日第1刷発行

   2008(平成20)年9月19日第7刷発行

※底本本文の末尾に、(岩崎小弥太旧蔵)とあります。

※底本手紙写真のキャプションに、(「伯爵 後藤象二郎」)とあります。

※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。

※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。

入力:Yanajin33

校正:Hanren

2010年10月9日作成

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