檀君の仕事の性格は、あまり人々に通じてゐない。おぼろげながら、それと察知できても、人々は何かの理由で大事をとつて、いたづらに右顧左眄し、笑ひにまぎらはし、確言を避ける風である。これでは、檀君も、やり切れぬ思ひであらう。
檀君の仕事の卓拔は、極めて明瞭である。過去未來の因果の絲を斷ち切り、純粹刹那の愛と美とを、ぴつたり正確に固定せしめようと前人未踏の修羅道である。
檀君の仕事のたくましさも、誠實も、いまに人々、痛快な程に、それと思ひ當るにちがひない。その、まことの榮光の日までは、君も、死んではいけない。
檀君の仕事は今日すでに堂々のものである。敢へて、今後を問はない。