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獄中のコンミューンの戦士の詩を憶って

槇村浩




コンミューンの戦士をして墓の中より起たしめよ、よし東方の墓堀り人夫らが

釘づけ、磐石の錘を据え置こうと

わが森山啓氏が肩をすくめ、全身の力もて突立ち上る時

あなたはアトラスのように地球の屈辱を荷わぬだろうか


わたしは獄中で

若い憂愁が瞼を襲うとき

いつもあなたのコンミューンの詩を想い出した


それはわたしらにとって無上の刺激剤だった

苦難の時代をわりあい間違なく進みえたことについて

わたしらは心からの感謝をあなたに捧げる


嵐はどよみ、戦列は地平に没しようと

誰かコンミューンの戦士をして蘇らせえぬか

あなたの詩が、新らしく南方の労働者の集会で読み上げられる時

あなたはアトラスのように地球の凱歌を荷わぬだろうか






底本:「槇村浩詩集」平和資料館・草の家、飛鳥出版室

   2003(平成15)年3月15日

入力:坂本真一

校正:雪森

2015年3月8日作成

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