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組織された力

今野大力




どこからか捲き起された風

渦になり、たいらになり、縦になり

吹きまくってゆく、突風! 疾風!

屋根柾やねまさが矢のように走ってゆく

塗炭板とたんいたがぐうおうとひっぺがされて

空をうなりながら飛んでゆく


ぐう、おう、ひゅう

ひゅう、おう、ぐう

物凄い力となって

粉々と雪をっ飛ばして

平原を十数丈の高さで

ぐんぐんとおしよせる風陣!

街の中も、原っぱも、村の街道も

猛火のような怒りと憎しみに燃え立って

前面に押し出し流されてゆく

引っぱたき、ぶちのめし

ひっぱずし、ぶちこわし

組織されたものの持てる偉大な力の進軍!

(『旭川新聞』一九二九年九月十七日号に今野紫藻名で発表 一九八五年四月新日本出版社刊『今野大力・今村恒夫詩集』改訂版を底本)






底本:「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社

   1987(昭和62)年6月30日初版

底本の親本:「今野大力・今村恒夫詩集」新日本出版社

   1985(昭和60)年4月改訂版

初出:「旭川新聞」

   1929(昭和4)年9月17日号

※初出時の署名は「今野紫藻」です。

入力:坂本真一

校正:雪森

2014年6月12日作成

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