戻る

赤い腕章

||俺らの警備隊に贈る||

波立一




赤い集会を護り

赤いデモを導く

若さの誇りに輝く

真赤な腕章

党旗の下から

組合旗の蔭から

俺らの演壇には

燃ゆる 燃ゆる

俺らの胸は早鐘

俺らは血走る眼を注ぐ

「真赤な腕章」へ

「真赤な腕章」はビクともしない

細心に 大胆に

俺らの感情を護る

「真赤な腕章」の役目は重い

共が耳打ち始める

ゆるんだ帽子の紐を締める

||弁士中止!

瞬間

「真赤な腕章」がグイと動く

||官憲横暴!

||横暴! 遣らせろ

俺らは総立になり

||解散!

街頭の俺らは勇敢だ

吠えかかる番共を

蹴飛ばし蹴飛ばしデモは進む

「真赤な腕章」の指す方向へ

「真赤な腕章」は頼もしい

圧しつけられ

搾り抜かれて

長い 永い間

鉄の如き辛棒で鍛えられ

噴火山の如き脳味噌から迸り

海の如き闘いから滲み出る

プロレタリアの感情は

「真赤な腕章」の心臓だ

真赤な布の腕章は

若さの誇りに輝く。

(発表誌不詳 『一九二八年プロレタリア詩集』を底本)






底本:「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社

   1987(昭和62)年5月25日初版

底本の親本:「一九二八年プロレタリア詩集」マルクス書房

   1928(昭和3)年5月

※×印を付してある文字は、底本編集部による伏字の復元です。

入力:坂本真一

校正:雪森

2015年6月28日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。





●表記について



●図書カード