うす暗い長屋のすみで、毎日、
私と坊やは糊まみれ、
糊にまみれてせっせと
戦争にあなたを奪われた私の生活
張っても張っても追っつかない
苦しい暮しの真ただ中で||おお早や五月
闘いのメーデーが来る!
おお戦争と白テロの渦巻く中
今年のメーデーはどんなにすごかろう
それにつけても忘れられぬあなた!
去年、あのだらしない
組合の人達と一緒に割り込みの先陣をうけもったあなた、
あなたは今は何処に?
引ったてられて行ってからもう三
どこにいるやら便りもない
おお何の便りもよこさないあなた!
戦争はしつこくながびき
侵略の陰謀に折づめされた
あなたの便りは聞かれぬけれども
||忙しい仕事の合間合間に
訪ねてくれる組合の人とも語る
あなたは腕のある
きっと仲間を集めて逆襲にそなえているであろう。
おおあくことなく信頼するあなた! 愛する私の夫!
木々の芽はのび、戦いの五月は迫ってくる
此頃||組合の人達はせっせと準備している
組合の人から聞きおぼえた
坊やのメーデー歌も片言まじり·········
苦しい暮しをけとばして、
そうだ! 坊やも私と糊にまみれて待こがれる。
(『働く婦人』一九三二年五月号に発表)