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雨の出発

森川義信




背中の寒暖計に泪がたまる


影もないドアをすぎて


古びた時間はまだ叩いてゐる


あれは樹液の言葉でもない


背中の川を声だけで帰つてゆくものたち






底本:「増補 森川義信詩集」国文社

   1991(平成3)年1月10日初版発行

初出:「荒地 2集」

   1939(昭和14)年5月

※初出時の署名は「山川章」です。

入力:坂本真一

校正:フクポー

2018年5月27日作成

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