戻る

断章

森川義信




おほくの予感に充ち

おまへの皮膚にはとどかず

はるかに高い所を

わたつた

あの鋭い動きさへ

速かに把へたのに

精神よ

季節は錆だ

新しい時へ

歩みを移すこともできず

灰は灰に

石は石に還つた

しかし

それらの冷やかさを

身をもつて感じてゐることは

もつと不幸だつた






底本:「増補 森川義信詩集」国文社

   1991(平成3)年1月10日初版発行

入力:坂本真一

校正:フクポー

2018年4月26日作成

青空文庫作成ファイル:

このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。





●表記について



●図書カード