翳に埋れ
翳に支へられ
その階段はどこへ果ててゐるのか
はかなさに立ちあがり
いくたび踏んでみたことだらう
ものいはず濡れた肩や
失はれたいのちの群をこえ
けんめいに
あふれる時間をたどりたかつた
あてもない歩みの
遅速のままに
どぶどろの秩序をすぎ
もはや
美しいままに欺かれ
うつくしいままに奪はれてゐた
しかし最後の
膝に耐え
こみあげる背をふせ
はげしく若さをうちくだいて
未完の忘却のなかから
なほ
何かを信じようとしてゐた
●表記について
- このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。