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帰らぬ春

森川義信




雲のたゆたう丘の

ほろり散つたはべに椿

呼べども逝つた春の日の

悲しい私のゆめかしら


柳の新芽もほの匂ひ

燕も来たに口づけて

水に流したモクれんは

どこへ流れて行つたやら






底本:「増補 森川義信詩集」国文社

   1991(平成3)年1月10日初版発行

初出:「ながれ」

   1935(昭和10)年4月号および5月号

入力:坂本真一

校正:フクポー

2018年3月26日作成

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