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十二月の島だより

泉芳朗




十二月ですね

もうすっかり冬になったやうな

而もまだ秋らしいやうな

どちらかと言へば煮切らないお天気です


けれども矢張り島の生活くらしはいいですよ

昨日も鶯の声がピヨロピヨロやりましてね

はにかみやで なきむしの僕には

ぴったりふさわしい時季です


机にだまりこくって

「迷想」をかみしめるにとてもいい時です


今日は小雨が哀しく飛んでゐます

かぼちゃ畑が黄色にうるんで

すみっこのやぶかげからは

何やら小鳥のおしゃべりが聞えます


こんな日には

矢張りおしゃべりもなつかしいですね






底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会

   1991(平成3)年6月6日第1刷

底本の親本:「泉芳朗詩集」泉芳朗詩集刊行会

   1959(昭和34)年

入力:坂本真一

校正:フクポー

2018年3月26日作成

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