思はずも筆はしり
忽ちに
画は成りぬ。
この時に涙ぞくだる。われながら
芸の力に泣きぬるか。
きと見れば、あさましや、
をののきに
眼ぞ
眩む。
むくつけき
斑の
獣尾を曳きて
面には君をゑがきたり。
やがて
画は炉の
中に
燃えながら且つ泣きぬ。
ああされど、偽らざりき、わが心
思ふはげにも
然なりける。
●表記について
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