君うつくしく
幸ありと、
おもへば
魂はくづるゝに、
なまじい罪は負ひつゝも、
君は死にきと
眼を閉ぢて、
痩せたる胸を撫づるなり。
もとより心いつはらぬ
ふたりが恋のくちつけは、
法の父上母うへの
御国にゆりぬ、君はいま
むくろぞひとに
委ねけめ。
されども君は
人妻と、
整ひきよき妻がさね、
われ
咽喉ぶえは裂きもすれ、
沸ぎる鉛は啣むとも、
えやは呼ぶべきわがつまと。
●表記について
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