五
里の
青野に行き暮れて、
山下街の
片門に、
いかで
一夜の
宿乞ふと
都のなまり、
||うらわかき
学生づれの
七人は
手にこそしたれ、百合の花。
家の
下部が、
老い
屈み、
嗄れごゑに、
竹箒とる手とどめて物いへば、
二室へだてし
簾障子の
奥に
乳母よぶ
||こは人の
百合の花なる白き影。
親なき君をいつく
家の
あなあやにくと、しとやかに
乳母はいなみぬ。よし、さらば、
そのあえかなる君祝ひ
捧ぐと
與へ行き過ぎぬ、
七人の手の百合の花。
●表記について
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