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文月のひと日

末吉安持




黒檀こくだんのみどり葉末はずえに、

そよ風ながうすべりて、

自然しぜん魂塊たましひあゐ

くゆりとぶ真夏まなつひる

金糸雀かなりやにうまゐめて、

夢の世に追ひわびたる、

やわらぎのれいはな

いま紫陽花あぢさゐにみとめつ。

昨夜よべうたね足らぬ

ひとみほそういとほそう、

わが世永久とはにかゝらばと、

おもひ入る、あゝ夢心地。


この刹那せちなのたましひを

黄金おうこんづしにひめて、

ひと日だにいつき得なば、

あゝ我ぞ詩のやさ男神をがみ






底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会

   1991(平成3)年6月6日第1刷

入力:坂本真一

校正:フクポー

2018年6月27日作成

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