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如是

末吉安持




凶会日くゑにち凶会日くゑにちと見て

めるもの衰へしもの、

床のにすなほにたふれ、

かめの身は砕けてちりて、

滅亡ほろびに入らむ。

床のれぬ、花瓶はながめ

されどそが『こゝろ』は如何に、

すなほにと云へど、やさしき、

くだけにはあらず、はげしく

叫ぶを聞きぬ。


人の子はかめにもあらず、

運命うんめい運命うんめいて、

秋のくれ、死ぬるといふ

ほのかなるそくのかげに、

題目だいもくをこそ||

蝋燭ろうそくはかすかに音し、

黄ばむ火は寒げにれぬ。

刻々こく/\おもがはりゆく

あゝ死相しさう||刹那せつなよ黒く、

つくは呻吟うめき


破瓶われがめ画師えしうち抱き、

死人しにびと法師ほふしみちびき、

秋の野へ、はうりのみちに、

また聞きぬ、見ぬ、黒牛くろうし

これも呻吟うめき






底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会

   1991(平成3)年6月6日第1刷

入力:坂本真一

校正:フクポー

2018年10月24日作成

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