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亜米利加

今野大力




アメリカは正義人道を看板にして

非道な国際を売ってしまった

排日は夢の日本に対するしくみだ、あなどりだ

夢も幻ももたない

トラウベル、ホイットマンを理想の詩人に祭りあげたアメリカ人

資産の外にはのぞみもない彼等は

貧しい夢の日本なぞ用もない

あたり前の成行きだ

ああ、ただ悲しい事実がある

それは偽られた同胞のクリスチャンだ

アメリカが偉そうにするもんだから

そうかしらと思って信じた

それが一枚看板をはいでしまえば

そこには愛もなく正義もなく人道もなく

只ある、さもしい勝手なみにくい

資本主義の曠大な陸地だった






底本:「今野大力作品集」新日本出版社

   1995(平成7)年6月30日初版

初出:「旭川新聞」

   1924(大正13)年7月1日

入力:坂本真一

校正:雪森

2015年1月6日作成

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