うら
草葉の息ふきかへす甘き香り、
木の間にさへずる、鳥の歌をきゝ、
悲しみは
されど、とく新らしき悲しみに転りぬ、
何をもて、この闇を照さむ、
空を仰げば
いざさらば、独り琉球節の
口笛にふるわせ、
うらやすき墓場のほとりにさ迷はむ、
そは音なき響きを(聞)かんとや·········
わが思ふ
まよはしきかな、
夕暮の窓にもたれて、蒼白き息ふくわれも、
またありやなしや、
あなうたがはし、
蚊のなく声を、君が悲しき唄とやきかむ、
柔
君が、
淋しき
森の
今なり! われは独りさ迷ひゆかむ·········
夕べの鐘をしたひて、
その音に耳を沈めて。
なつかしい丘の上、
棕梠の若葉のそよぎ、小鳥の歌、
傾むきつくす
見る/\最後の
深い/\海の彼方へ去らうとする、
なつかしい丘の上に、Kの君を待つ心よ!
夢を語るやうな暮の風に顫へる、
葉づれの音に眼が
西へ東に、足が動きだす·········
夫れと思ふ俤が、更に眼にとまらぬ、
胸を抱いて、深い悲しみに沈む、
林の間に、夜の色が浮び出した·········
黒ろい恐ろしい影は、
私の
もう是れが私の、Kの君に対する最後だ!