ありとあらゆるわが
思、「愛」と語りて
弛なく
その
種々の
語の
數いと繁きひといろは、
勢猛にわれをしも力の下に
壓さむとし、
またひといろは
勢を誇り語りて、らうがはし。
あるは
望を
抱きつゝ、
悦われにあらしめつ、
あるは
頻にわれをしも
憂ひ悲しましむれども、
「
憐」仰ぐひとことは、すべての
思皆おなじ、
心の底に潛みたる「
恐」によりてふるひつゝ。
さてはいづれの思をば、頭の心と定むべき。
語り
出むと思へども、語らふべきを吾知らず。
ただ
茫然と、
迷はしき「愛」の
衢にひとり立つ。
かくて
思のいづれにも
適はむ事を求むれば、
他に
詮術のあらばこそ、
口惜しけれど吾は
唯身のまもりにと
呼はらむ、かたきの姫の「
憐」を。
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