忌々しき「死」の
大君は慈悲の
敵なり、
昔より
悲の母、
かたくなに、
言向けがたき
司かな。
われも心に「
憂愁」の
種を
播かれぬ、
いざさらば
憂ひて
已まじ
この
舌の君さいなみに
倦みぬとも。
われ今ここに君が身をつゆばかりだに
慈悲無しと思ふものから、
まがごとの
大凶事と、君が罪
鳴して責めむ。世の人も知らぬにはあらず、
しかすがになほ
憤り、
けふよりぞ「愛」の
惠に
歸依すべき。
いと
美しき
禮讓はこの
塵の世を捨てたるか。
をみな心の
麗しき徳性さへもうせにしか。
わかき
命のまさかりに、
「愛」の
色香を
毀ちたる憎き「死」の神。
この
淑女の
誰なるを、ここに語るは
憚れど、
そが
本性の氣高きを述べたればこそ人知らめ。
後世の
福得べき身ぞ
天つ
御空に此君を
仰ぎ見すらむ。
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