泣けよ、
戀人、神の身の「愛」の君だに、
愁歎のいはれを
識りて泣き入りぬ。
「愛」は
悲み
堪へ難く、いらつめたちの
雙眼に溢るる涙、眺めたり。
忌々しき「死」の
大君は
貴なる人も
憚らず、さすがに徳を避けたれど、
なべての人が、たをやめの
譽とふもの、
めぐしくも、
毀ちたるこそ
無殘なれ。
聞けよ、
諸人、「愛」は今、このたをやめを
褒めたたふ。見ようつそ身に
現れて、
眠れる如きかんばせの上にあらずや。
折ふしは
天頂高くうちあふぎ、
かくて
貴なる
魂のゆくへや
求むる、
塵の世の
濁に染まぬたましひの。
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