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聖の行くべき道

今野大力




そこはねずみも歩かない

歩くべきではない

ひじりの行くべき道である

空は明るく明るく

まひるの如くに明るい

一しきり降っていった雪は

野に山に路に庭に

夢見る様に積もっている

雪は白い何よりも白い

きよめられたる様に白い

天と地の合体の風景である

包む夜は厳に静かな

しらべをひ(ママ)ている

    *

ひじりの為めにいた敷物は

けがれる事を恐れている如くである






底本:「今野大力作品集」新日本出版社

   1995(平成7)年6月30日初版

初出:「旭川新聞」

   1924(大正13)年3月31日

入力:坂本真一

校正:雪森

2015年3月8日作成

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