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(古る摺れた)

中原中也




古る摺れた

外国の絵端書||

唾液が余りに中性だ


雨あがりの街道を

歩いたが歩いたが

飴屋がめつからない


唯のセンチメントと思ひますか?

||額をみ給へ||

一度は神も客観してやりました

||不合理にも存在価値はありませうよ

だが不合理は僕につらい||

こんなに先端に速度のある

自棄 々々 々々

下駄の歯は

僕の重力を何といつて土に訴へます

「空は興味だが役に立たないことが淋しい

||精神の除外例にも物理現象に変化ない」

ガラスを舐めて

蠅を気にかけぬ






底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩※(ローマ数字2、1-13-22)」角川書店

   2001(平成13)年4月30日初版発行

※底本のテキストは、著者自筆稿によります。

※()付きの表題は、作品の冒頭をとって、底本編集時に与えられたものです。

※()内の編者によるルビは省略しました。

入力:村松洋一

校正:hitsuji

2020年5月27日作成

青空文庫作成ファイル:

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