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黒襟飾組の魔手

山本周五郎





 八月の午後のは府立第X×中学の野球グラウンドの上に照りつけていた。

 グラウンドでは三年級のティームが猛練習の最中だった。こっちのスタンドには三年級受持うけもちの倉持教諭が、同僚の化学の教師と共に話していた。

「あの捕手キャッチは肩も良いし、とても綺麗なプレイをするが、何という生徒だね」

「あれか、あれはそら、先月だったかC・C・D潜水艦事件で手柄をあげた、あの春田龍介はるたりゅうすけだよ」

「ああ、あの少年探偵か、ふーむ」

「二年級のキャプテンをやっているんだ。とてもしっかりしている。秋には全国中等学校野球大会へ出るんで、この暑いのに毎日猛練習さ。あれで家へ帰ると、父さんの化学実験の手伝てつだいをするんだそうだからね······

 話しあっていた時||詰衿服に鳥打帽をかぶった混血児の少年が、スタンドに上ってきた。

「春田龍介君にお眼に掛りたいのですが」

「何の用だね」倉持教師が振返ふりかえっていた。

「手紙を頼まれて来たんです」混血児の少年はそういって、黒い封筒にはいった書面を見せた。

「じゃ待っていたまえ、いま練習中だからね。もうすぐ休憩になる」

「では、先生からおわたし下さい。僕ちょっと急ぎますから」

 少年はそういうと、黒い封筒の書面を倉持教師にわたして、さっさと立去たちさった。

 と練習がすんで、全身汗みずくになった龍介が、皆と連立つれだってベンチの方へかえってきたので、倉持教師がスタンドを下りてきて声をかけた。

「やあ、諸君御苦労さん······ところで春田君、いま君にこの手紙を届けてきた者があるよ」

「そうですか、どうも有難うございます」

 受取ってみると黒い封筒、なんだか妙に忌わしいような気持がする。開けて見ると白い紙へ朱色のインクでこう書いてあった。

少年名探偵春田龍介君足下。我等は貴君に警告す、我等は来る八月十八日深夜二時を期して、貴君の伯父おじ若林子爵家の所蔵する黄色金剛石イエロオダイア頸飾くびかざりを奪いとるべし。貴君にもしその志あらば、我等は頸飾を中心に一騎討を試みるべし。

襟飾ネクタイ組主領

「なーんだ、馬鹿馬鹿しい」

 春田龍介はそういって、怪しの手紙を無雑作にポケットへねじこむと、皆に挨拶して大股にグラウンドを立去った。



 龍介が家へ帰ってみると、伯父に当る若林子爵家から、ぜひこっちへくるようにと電話がかかって来ていた。もしやと思ったので、龍介は自動車で出掛けた。

 伯父の若林子爵は、書斎で龍介のくるのを待構えていた。そして龍介が大きな書棚を背にして深椅子いすにかけると、黙って一通の黒封筒に入っている手紙をわたした。龍介は一瞬間ぎょっとしたが、受取って中をあらためた。||中は龍介が混血児からわたされたのと同じ朱色の手紙で、こう書いてある。

警告。我等は貴家所蔵の黄色金剛石イエロオダイア頸飾を頂戴せんと欲す。時日は八月十八日深夜二時。||しかしてこの事の事実なるを証拠だてる為、今十五日深夜二時、貴家の書斎に忍び込み、卓子テーブルの上に朱色の文字を書きおくべし。

襟飾ネクタイ組主領

「これは同じ物だ!」そういって龍介は校服のポケットから、さっきの挑戦状を取り出して伯父に見せた。子爵は、それを見てふるえ上った。

「で、伯父さんはどうなさいます※(感嘆符疑問符、1-8-78)

「いや万一のことがあるといかんと思ったから、顧問弁護士に頼んで私立探偵を一人やとったよ。四時にはくるといったから、もうすぐにやってくるだろう。とにかく探偵の意見も訊いてから、どうにかしようと思っている」

 龍介はひょいと深椅子から立上った。

「しかし||何故なぜ此奴こいつ等は僕に喧嘩をふっかけてきたのだろうな、一騎討をやろうなんて」

 龍介が独言ひとりごとをもらすと、子爵が傍から、

「それは分かっているさ。俺の親戚に龍介のいること、そして龍介がサルビヤ号の事件であんな大手柄を立てたことを知っているからなんだ。それでお前を子供扱いに馬鹿にして、からかってきたのさ」

「よし※[#感嘆符三つ、26-12]」龍介はしばらく考えた後決心したように叫んだ「よし、やってやろう、黒襟飾ネクタイ組が勝つか、少年春田龍介が勝つか、一騎討だ※[#感嘆符三つ、26-13]

 そういったとたん、ふと気がつくと庭に面した窓の外で、今まで中の容子ようすをうかがっていたらしい、龍介と同年おないどし位の混血児少年が、さっと身を翻して走り去るところだった。



 時計が四時を打つと、書生が一枚の名刺を取次とりついできた。それは顧問弁護士の紹介状を持って、私立探偵桂河かつらがわ半十郎が訪ねてきたのだ。

 書生に導かれて桂河探偵が入ってきた。大きな男で白麻の夏服に、黒の中折をかむり、大きな色眼鏡をかけている。顔色は日にけて黒く、髭を生やしている。ちょっと鼻にかかった声で、大変にのろくさく話した。

「じゃあ伯父さん、僕はまた明日伺います」龍介はなにを思出おもいだしたか、そういうと共に大急ぎで書斎をとび出した。

「さあ、急がしくなってきたぞ!」

 そういって龍介は、廊下へ出ると共に、ポケットから名刺を取り出した。それは今きたばかりの桂河探偵の名刺だった。龍介はそれを見ると、

「おやおや、こんな物を持ってきちゃった」

 そういって苦笑しながら玄関へ急いだ。

 あくる日の朝、食事の後で龍介は自動車で子爵を訪ねた。子爵もちょうど食事を終ったところだったが、龍介を迎えると、急いで書斎へ導いて、卓子テーブルの上を指示した。

「御覧、龍介この通りだ※[#感嘆符三つ、27-16]

 見ると卓子テーブルの上には、朱色のチョークで大きく、

「黒襟飾ネクタイ組来る||十四日深夜二時」と、書きつけてあった。

「探偵はどうしました?」龍介が訊ねた。

「まあ、お聴き||俺と探偵は昨夜十二時にこの書斎へ入って坐った。そして窓のにも出入口のドアにも厳重に鍵をかって見張をしていた。一時になって、二人は紅茶を飲んだ。それから三十分も経ったろうか、二人はいつしかとろとろと居睡いねむりをしていたらしい。二時を打つ時計の音でハッと気がついて見ると、探偵が眠っている、ゆり起したが、よく眠っていてなかなか起きなかった。それでもやっと呼起よびおこして、行って見ると卓子テーブルの上に、朱色のチョークで書いてある。||すぐ調べたが、窓のも出入口のドアもちゃんと閉まって鍵がかかっているのだ。桂河探偵は、こんな眼に会ったのは初めてだと大変怒っていたがね」

 龍介は聞き終ると、ふたたび卓子テーブルに書きつけられた朱色の文字を、叮嚀ていねいあらためなおした。

「ふーむ、いやに下手くそな字だな。ことによると、左手で書いたかも知れぬ」

 そしてなおしばらく、書斎の中をくわしく見まわった後、ちょっと出かけて来るからといって、子爵のやしきをとび出した。



「よし、探偵に会って意見を訊こう!」

 龍介は外へ出るとそう呟いて、昨日ポケットにしまっておいた名刺を取り出した。事務所は麹町こうじまち区内幸町東京ビル四階とある。龍介は自動車へのると、内幸町へ向かって走らせた。

 東京ビルの四階、桂河探偵事務所を訪ねると、受付に十三歳くらいの少女の給仕がいて、十時にならなければ誰も出てこないと答えた。そこで龍介は待つことにした。

「この事務所はいつごろからできたの」と龍介はお茶を持ってきた少女に訊ねた。

「存じません、私一週間ほど前にきたばかりですから」

「ああそう、探偵は何人くらいいるの?」

「さあ、桂河先生に、ほかに三人ばかりと、小さな助手の人が一人だけでございます」

有難ありがとう!」

 少女は受付へ戻った。龍介は応接間の中でなお十分ばかり待ったが、待ち切れなくなって立上った。そして、

昨夜ゆうべの事件について御意見を伺いたくてきたが、お留守ゆえ帰る」と、置き手紙を残して事務所を立ち去った。

 自動車へ乗った龍介は運転手に、

「大急ぎ! 警視庁へやってくれ給え※(感嘆符二つ、1-8-75)」と、命じた。

 警視庁で一時間ばかりなにか調物しらべものをした龍介は、ふたたび子爵邸にあらわれた。子爵はあわてて、

「ああ良いところへきた。龍介ご覧、また朱色の脅迫状がやってきたよ」

 出されたのは同じ黒の封筒。見ると、中には朱書きで、

警告第二。我等は再び今十六日深夜二時貴家書斎に現わるべし、しかして西側の壁に朱色の証拠を残すべし、もしこの事を警察に告ぐる時は一家残らず惨殺すべきものなり

襟飾ネクタイ組主領

「ふん、なかなかやるな、畜生※[#感嘆符三つ、30-5]

 龍介はそう呟いて、脅迫状を戻すと、また何もいわずに、とっとと書斎をとび出した。



 拳骨メリケン壮太が、大きな拳骨を振りながら、どすんどすんと足音を響かせて龍介の家へやってきたのは、その日の暮方であった。

「坊っちゃん、お手紙を頂きました。何か御用だそうですね」

「気をつけ給え壮太君、こん度坊っちゃんなんていったらそれっきりだ。それで友達の縁を切るから、そのつもりでいてくれ給えよ!」

 そうわれると、拳骨メリケン壮太は頭を掻いて恐縮した。

「ところで、今夜どうしても君に力を借して貰いたい事が起ったのだが、どうだろう」

「ええ、ようござんすとも。あっしにゃ学問のことは分らねえが、鬼の一疋いっぴきや二疋ぶち殺す役ならいつでも引受ひきうけますよ」

 大きな拳骨を振り廻して見せる、龍介は笑って、

「よし※(感嘆符二つ、1-8-75) じゃあまあ夕飯を一緒に食べながら話をしよう、出掛けるのは夜中だから」

 そして龍介は夕食を壮太と共に食べながら、何事かひそひそ話しこんだ。

 二人が家を出たのは夜中の十二時、歩いて若林子爵邸の裏へまわると、反対側の邸の黒板塀の蔭へ、二人ともぴったりと身をよせた。

「さあ壮太君、この香水を顔や足に塗りたまえ、蚊に喰われて物音でも立てると鬼は逃げてしまうからね」

 壮太はわたされた香水を塗って、ほとんど地面にしゃがみながら待っていた。十分||二十分。

「一時だ」龍介が腕時計を見てつぶやいた。それから又十分||二十分。と||突然龍介が、ひくく「そら来た!」とささやいた。

 指示ゆびさす方を見ると、子爵邸の中から、塀を乗越のりこえて出てきた怪しの人影! しばらく四辺あたりを見まわしていたが、やがてひらりと通りへ跳びおりた。

「そら行って捉えろ!」龍介が叫んだ。

 脱兎のように跳び出す壮太、今まさに逃げようとする怪漢の後ろから、襟髪をむんずと掴んで、

「えい!」肩にかけて投げようとした、とたんにどこから出たか二人の怪漢、あっ! と見る間に、後ろから太い洋杖ステッキのような物で、壮太の頭を殴りつけた。

「うっ!」と、うめいて倒れる壮太。

「やっ※(感嘆符二つ、1-8-75) 畜生やったな※(感嘆符二つ、1-8-75)」と叫びざま、飛鳥のように跳び出した龍介。が※(感嘆符疑問符、1-8-78) しかしいつ誰がかけたか足下に張られた罠、足を巻かれてずでんと倒れる。とたんにシュッという音がして、水のようなものが顔にかかった。

「あっはははは」と笑った三人の怪漢は、闇の中へ走り去った。その中の一人、子爵邸から忍び出た小さいのが、あの混血児少年であるのを龍介は見逃さなかった。

「畜生、ひでえめに会わしやがった」壮太が起きてきて、龍介の足から針金を解きながら云った。

「ねえ、坊っちゃ||じゃねえ春田さん、奴等ぁ何か水みてえなものをあっしにぶっかけましたぜ」

「あれは水じゃない、エーテルという麻酔剤だ、あれだけ嗅げば二日くらいは眠りっきりになるんだ」

「え※(感嘆符疑問符、1-8-78) 二日も眠ったっきりですって、冗、冗談じゃねえ、あっしゃそんななご免ですぜ」

「心配し給うな、多分こんなことだろうと思って、前にちゃんと予防しておいたんだ。さっき顔へ塗ったのは蚊除け香水じゃない。あれは麻酔剤の力を消す新しい薬なんだ。あれを塗って置けばどんな麻酔剤だって恐れることはないんだ」

「うは||。偉いなあ坊っちゃん||じゃねえ春田さんは······やっぱりあっしの親分だけありますねえ」

 壮太は躍りあがって手をった。しかし龍介は鋭い眼で、きっと闇の中を睨んでいった。

「だが、これで奴等の手が分かった。あとは糸をめて行くばかりだ!」



 明る十七日の朝、龍介が起出おきでたのはまだ暗い内のことであった。起きるとすぐ、龍介は妹の文子ふみこを自分の部屋へ連れこんで一時間ばかり何か話していたが、やがて文子は何度もうなずいて、固い決心の色を見せながら、そっとただ一人、どこへともなく家を出ていった。

「さあ、いそがしいぞ!」

 文子を送り出すと、そういいながら朝飯も食わずに家を出ていった。無論父の自動車を借りてである。

 三十分の後龍介が帰ってきた時には、拳骨メリケン壮太がきて待っていた。

「遅いなあ壮太君、僕はもう一仕事やってきちゃったぜ」

 壮太は頭を掻き掻き立上った。

「さあ事件はいよいよ面白くなってきた。ところで、こん度はむずかしい役を君に頼まなくちゃならないが、||実はね······

 で、又ひそひそと秘密な相談が始まった。

「よござんす! やりましょう※[#感嘆符三つ、33-14]

 聞き終ると、壮太が拳骨で胸を叩いてわめいた。

「畜生、昨夕ゆうべの仕返しだ、うんとやっつけますよ、だが奴ぁおどろくでしょうね、うふふ」

「笑いごとじゃない。うっかりすると反対に君が愕く方へ廻るかもしれないぜ」

「なにくそッ、こん度こさあ」

 そして壮太は勇気りんりんと出ていった。

 龍介はそれからゆっくり朝食をって、歩いて若林子爵を訪ねた。

 子爵は昨夜ゆうべの疲れでまだ寝ていた。しかし龍介のきたことを聞くと、寝不足な顔をこすりながら、起き出てきた。||それを見るより龍介。

「お早う伯父さん、頭の前の方が痛みやしませんか、痛むならあとですぐ直る良い薬をあげます。||ところで、又昨夜ゆうべも黒襟飾ネクタイ組はやって来ましたね、そうでしょう※(感嘆符疑問符、1-8-78)

「どうして、お前それを知ってる」子爵は額を揉みながら葉巻を取りあげた。龍介はつづける。

「伯父さんと桂河探偵は一時にお茶を飲んだ。それから十分ばかり経つと、疲れが出てうつらうつらと甘睡まどろんだ、二時を打つ時計の音ではっと眼が醒めると、西側の壁に朱色の文字が書附かきつけてあった||そうでしょう」

「そのとおりだ、全部その通りだ」

「さあこれが薬です、良い匂いのする薬ですよ。これを嗅げばあなたの頭痛はすぐ良くなります。でねえ伯父さん、今晩もう一度同じようなことがあります。そしたら明日いよいよ僕が出掛けてきますよ。明日こそ僕と黒襟飾ネクタイ組とが、頸飾を中心に一騎討を始めるんです」

「今夜はきてくれんのかね龍介」

 子爵は心細そうである。

「今夜はいけません、今夜は休養です、今夜は休養です」

 そして、悠々として出て行った。

 家へ帰ってみると、文子からの手紙がきていた。

 けて見ると、ただ簡単につぎの文字が書いてあった。

横浜市海岸通りマキシム倉庫八番

「よし、これですっかり揃った」

 龍介はそう呟いて机に向かった。



 さていよいよ八月十八日の夜、若林子爵家の書斎で、龍介と子爵は黒襟飾ネクタイ組から送られた最後の脅迫状を読んでいた。

最後の警告。我等は今十八日深夜二時、貴家書斎にて黄色金剛石イエロオダイアモンド頸飾を受取らんとす。貴下は書斎の卓子テーブルの上に、頸飾を出しておかるべし、この命令にそむく時は一家残らす惨殺すべし。

襟飾ネクタイ組主領

「一家残らず惨殺す、か!」読終よみおわって龍介は冷笑した「伯父さん、此奴こいつ等はこの手紙を自分たちで受取る方が本当ですよ。なぜって、奴等はもう、明日っきりの命ですからね」

「そんなこと云って龍介、お前ちゃんと計画はできているんだろうね」

「まあ見ていて下さい。ところで桂河さんは遅いですね。へぼ探偵さんは、||実際あんなへぼさんて見たことがないや」

 そして龍介は大声で笑った。と、その時えへんと咳払いをしながら当の桂河探偵が現われた。正に龍介のいった悪口を聞いたのだ。大へんに御機嫌の悪い顔で、子爵にちょっと挨拶したまま、黙ってどっかりと自分の椅子へかけた。

「今晩は桂河さん」龍介はあいそよく話しかけた「貴方あなたはいつもそうやって帽子をかぶりっきりなんですか、家の中でも?」

「探偵という者は」桂河探偵がむっとした容子で答えた「いつどこで悪漢に顔を見知られるかも知れない、顔を覚えられては探偵するに具合が悪いから、いつもこう眉深まぶかに帽子をかむって顔をかくしているんだ」

「へえ||探偵ってずい分むだ骨の折れるもんだなあ」龍介は遠慮もなくいう「その癖いつも失敗するんだがなあ······

「失敬なことを云うな、それじゃ君はこん度の黒襟飾ネクタイ組の事件が解決できるかね」桂河探偵ぷんぷん怒っている。龍介は平然としていった。

「僕ですか、ああ僕なら明日の午後二時までに、黒襟飾ネクタイ組を全部一網打尽に捕縛するつもりですよ」

 それを聞くと、桂河探偵は腹を抱えてわはははははと笑った。そこで龍介も負けずにわはははははと笑った。



 十二時を打った。

 子爵と探偵と龍介は書斎に入った。卓子テーブルの上へ頸飾を出しておくかおかないかについては大分争いがあった。探偵は出さない方がよいといった。龍介は出しておく方がよいと主張した。頸飾が出してないと見れば奴等は、本当に一家を残らず惨殺するかも知れない。

「いや、探偵の責任としても、頸飾を出しておくことは反対だ」桂河探偵は最後まで頑張った。

 しかし子爵が自分で頸飾を出してきて、それを卓子テーブルの上へおいた。

「こうしておけば、万一頸飾は奪われても皆の命には別条はないから」

 と、子爵がいった。

 子爵と探偵は、頸飾のおいてある卓子テーブルを間に向合むきあって坐った。龍介は窓際の長椅子に腰かけて、窓硝子ガラスに身を、もたせかけていた。

 一時を打った。桂河探偵が立って紅茶の支度をしようとした。そこで龍介がそれを手伝った。温かい薫りのい紅茶茶碗が三人の手にわたった。

 龍介は自分の椅子にかえった。そして時々そっと、懐中ふところから例の香水を取り出しては嗅いだ。

 ふと、皆が紅茶をすする音の間に、かすかにシュー、シューという音が聞えてきた。

 一時二十分||三十分。見るとまず子爵が居眠りをはじめた。それからすぐ龍介ががっくり、頭を垂れてしまった。

 桂河探偵は危険を感じたのか、よろよろと立上って壁の方へいった。とたんに電灯が消えた。||闇の中で誰かがうめいた。

 暗いままで時間は経ってゆく、十分、二十分。そして時計が二時を打った。

「あっ※(感嘆符二つ、1-8-75)」と叫んだのは子爵である、時計の音で眼を覚ましたのだ。書斎の中が真暗だから、急いでスイッチをひくと電灯がついた。

 見ると龍介は窓際の椅子でぐっすりねむっているし、探偵は壁際に倒れている。走りよって、

「桂河さん、桂河さん」と呼びおこすと、それでもようやく我に返った容子で、

「頸飾は······頸飾はどうしました」と叫んだ。

 頸飾は? ああ勿論ありはしない。卓子テーブルの上には紫天鵞絨びろうどケエスがおき棄ててあるばかりだ。

「云わんこっちゃない、だから私は出さん方がいと云ったのだ」

 探偵はもう一度吠え立てた。

 二人はそれから龍介を起こしたが、龍介はなかなか起きなかった。肩を掴んで揺りたてるようにして、五分ばかりかかった後やっと眼をさました。

「や、こりゃきっと、麻酔剤をかけられたんだ」

 探偵が叫んだ。龍介はまだねぼけ声だ。

「頸······頸飾は無事ですか······

「君のおせっかいで、綺麗にられちゃったよ」探偵は忌々しそうに呶鳴どなりつけた。

「それでも黒襟飾ネクタイ組を一網打尽にすると云うんかね、小僧君」

 龍介はよろよろと起上ってねぼけ声で、

「ああよくねむった。伯父さん、大丈夫ですよ心配しなくても。明日、明日僕が取返してきてあげますよ、本当だ······ああ睡い」

 そういいながら、又どっかり長椅子に坐り込んで、ぐうぐう眠りこんでしまった。



 その翌日。龍介は午前十時に、麹町内幸町の桂河探偵の事務所を訪ねていた。

 受付には少女の給仕がいた、しかし先日の少女とは違っていた。龍介は給仕に導かれてゆきながら、低く独言をいった。

「すっかりできているかい······

 少女の給仕はちょっと立停まって、

「左様でございます」といってすぐ「先生のお部屋はここでございます」と附加つけくわえた。

 龍介はドアを叩いてへやの中へ入った。入る時小さな紙片と、黒い封筒に入った物を落した。少女の給仕はそれを拾うと、素速く懐中ふところへ入れて受付へかえった。

 龍介はへやへ入った。事務室に桂河探偵がいた、例によって帽子をかぶったまま大卓子テーブルに向かって何か書物かきものをしていた。

「お邪魔します桂河さん」龍介が挨拶した。

「ああどうぞ、ちょっとお待ち下さい、いま手紙を一通書いてしまいますから」

 書き終ると探偵はそれを封筒にいれて、呼鈴を押した。少女の給仕がくると封筒をわたして、

「もう五分もすると、いつもの子供がくるから、この手紙をわたしてくれ。それでよろしい」

 そういって給仕をへやから出した。

「やあ失礼、ところで、なにか御用ですかね」

「そうなんです、朝早くから失礼ですが、至急お願いしたいことがありましてね」

「なる程。で、その用というのは」

黄色金剛石イエロオダイヤモンドの頸飾が頂きたいんです※[#感嘆符三つ、40-9]

「な、なに※[#感嘆符三つ、40-10]

 桂河探偵は顔色を変えて突立つったった。

「そんな芝居はたくさんですよ。僕ぁちゃんと見抜いていたんだ探偵。貴方あなたのなさることはまるで子供だましでしたね。おとなしく頸飾を返した方が徳ですぜ」

「なる程、なる程、なる程※[#感嘆符三つ、40-14]

 桂河は喘ぎながら、やおら席を離れた、そして静かに出入口のドアに近寄ると、とっさにドアへ鍵をかけた。そしてまた静かに元の席に戻って、立ったままきっと龍介をにらみつけた。

「小僧※(感嘆符二つ、1-8-75) 貴様の云うことはそれだけか」

 探偵の態度はがらりと変った。

「まだある!」龍介はちっとも騒がず、にやにや笑いながら、探偵を見ていたが、不意に相手の鼻先を指示して叫んだ。

「帽子を※(感嘆符二つ、1-8-75) ビショップ、ヤンセン、額には大きなあざがあるはずだ※[#感嘆符三つ、41-3]

「あっ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 探偵は一歩後ろへ退がると共に、抽出ひきだしから取り出した自動拳銃ピストルを龍介に向けた。

「畜生、小僧め、看破みやぶったなあ、もうこうなれば何ももぶちまけてやる。おれは復讐に来たんだ。サルビヤ号事件では、よくもよくもおれをやっつけたな。おれはそれが口惜くやしさに、脱獄して貴様に挑戦状を送ったんだ。そうとも知らずうかうかここまでやってきたのは、飛んで火に入る虫けら同然だ||さ、神様のお名前でも唱えろ、五ツ勘定する内に貴様はお陀仏だぶつだぞ※[#感嘆符三つ、41-9] いいか、一ツ二ツ三ツ······

 あわや、龍介虎穴に入って、危機一髪!



 その時龍介は静かに口をきった。

「ヤンセン、貴様は僕に一騎討をしようといってきたな。だがこの一騎討はたしかに僕の勝だぞ!」

「何だと※(感嘆符疑問符、1-8-78) 小僧||

「見ろ、貴様の拳銃ピストルには弾丸たまがないぞ」

「なに※(感嘆符疑問符、1-8-78)

 あわてて拳銃ピストルを振って見たが、ヤンセンの顔はさっと蒼くなった。そして気違いのように抽出ひきだし中の拳銃ピストルを取り出してみたが、これはどうだ、どれもこれも弾丸たまが抜いてあるではないか。

「それから、お気の毒だが黄色金剛石イエロオダイヤモンドの頸飾は頂戴してあるよ!」

 龍介の言葉に、もうすっかり度胆を抜かれたヤンセンは、あわてふためいて壁に仕掛けてある秘密の小型金庫を明けた。とたん※(感嘆符二つ、1-8-75)

手を挙げろハンズ・アップ、動くな※(感嘆符二つ、1-8-75)

 と龍介が叫んだ、右手にはモオゼルの自動拳銃ピストルが握られてある。ヤンセンはびっくりして両手をあげた。

「退れ! もっと、もっとだ。卓子テーブルの前まで退がれ、こいつには実弾がこめてあるんだ。証拠を見せてやる、そら※(感嘆符二つ、1-8-75)

 パッと散る火花、プスッという音がして弾丸たまが壁にあたった。と驚くべし※(感嘆符二つ、1-8-75) そこの壁ががらっとまわって、秘密のけ道があらわれた。

「驚いたかヤンセン、僕はこの間きた時に何もも見ておいたのさ。そのけ道もさ||ところで頸飾はこの金庫の中にあるんだね」

 そう云いながら、静かに今ヤンセンのあけた、秘密金庫に歩みよって、中から燦爛とかがやく一連の頸飾を取り出した。

「ははあんこれだ、||頸飾を先に頂戴したなんていったのは嘘さ。そういえば君が驚いて、あるかないかを調べるだろう、そうすればどこにあるかがすぐ分るからね。いや有難う君」

 その時ヤンセンは少しずつ卓子テーブルへ近寄って、龍介に気づかれぬように、床板に取りつけてあるスイッチを踏んだ。リーンというベルの音がちかくでした。

 と、隣室のドアがあいて、髭だらけな悪漢がとび出してきた。ヤンセンは手をあげたままで、

「その小僧をたたんじまえ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 と呶鳴どなった。すると悪漢は、

「よし来た※(感嘆符二つ、1-8-75)」というより早く、意外や反対にヤンセンに跳びかかった。ヤンセン二度びっくりして、

「こら貴様気が違ったのか、あの小僧を」

「やかましいやい毛唐め、俺等おいら拳骨メリケン壮太さまだ。サルビヤ号でくらった拳骨メリケンの味を忘れやがったか」

 やっというと腰車にかけて、ずでんどっとほうり出して、狂犬のように跳びかかった。

「よし、其奴そいつは任せた。縛りあげておきたまえ、すぐ警視庁からやってくるから、僕は横浜へ行くぞ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 龍介はそういうと、ヤンセンから鍵を奪ってドアをあけ、ヤンセンを揉みくちゃにしている壮太を残して外へ跳び出した。龍介を乗せた自動車は警視庁へ向かった。そして十人ばかりの警官をのせた自動車三台を従えて、驀地まっしぐらに横浜へ向った。



 横浜市海岸通、マキシム倉庫第八号の中には、山と積んだ密輸入品の間に、ごたごたと外国人まじりに七八人の荒くれ男が集まっていた。||いずれも黒服に黒襟飾ネクタイだ。

 表へ自動車の着いた音がした。

「親分だ! 見ろ!」と一人が囁いた。

 表へ着いたのは黒塗大型の自動車で、乗っているのは混血児少年ただ一人、ひらりと跳び下りたが、倉庫の中へ駈けこんで、

「皆、手が廻ったぞ※(感嘆符二つ、1-8-75)」と喚き立てた。

「何だ、どうしたジョオジ※(感嘆符二つ、1-8-75)

「又あの龍介の小僧が出しゃばりやあがったんだ、ヤンセン親分はつかまっちゃったんだ。逃げろ、警視庁の自動車三台が二十分と経たぬ間にここへやってくるぞ※(感嘆符二つ、1-8-75)

「そりゃ大変だ、逃げろ、逃げろ※(感嘆符二つ、1-8-75)」皆はにわかに慌てふためく。少年は再び大声に叫んだ。

「表に自動車がある、幌だから丁度さいわいだ。さあ皆あれへ乗って行こう※(感嘆符二つ、1-8-75)

「そうだ、その自動車で逃げろ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 度を失った荒くれ共、帽子だ拳銃ピストルだと騒ぎながら表へ押出おしだそうとした、その時、倉庫の入口へふいに現われて、

「待て、騙されるな※(感嘆符二つ、1-8-75)」と呶鳴どなった者がある。びくびくしている時だから、皆は吃驚びっくりして立停まった。そしてひと眼見るなり異口同音に、

「や※(感嘆符二つ、1-8-75) やっ※[#感嘆符三つ、45-3]」と驚きの声をあげた。

 それもそのはず、見よ、入口に立っているのは、紛れもない混血児少年ジョオジではないか。

「気をつけろみんな、そこにいるのは龍介という小僧だ、ヤンセン親分を捉まえて、その上に皆を一網打尽にしようとやってきたんだ、みんながあの自動車に乗れば、外からびんと鍵がかかってそのまま警視庁へ送りこもうという計略さ、気をつけろ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 後からきたジョオジは、そういいながら先にきたジョオジに詰め寄った。

「違う※(感嘆符二つ、1-8-75) 違うぞみんな、こいつが龍介って小僧なんだ、おれに先を越されたものだから、あんな出鱈目でたらめをいってみんなを迷わせようとするんだ、騙されるな※(感嘆符二つ、1-8-75) ぐずぐずしている内にゃあ本当に警視庁の自動車がやってくるじゃないか。そんな奴に構わず早く自動車に乗ってくれ、そして一分も早く逃げるんだ※(感嘆符二つ、1-8-75)」先にきたジョオジは、これまた必死になって皆に叫びかけるのである。

「畜生化けやがって、よくもおれ達をこんな目に会わせやがったな※(感嘆符二つ、1-8-75)」後のジョオジが口惜くやしそうに罵った。

「そういう貴様こそ皆を騙そうというんだろう、この狐小僧め※(感嘆符二つ、1-8-75)」先のジョオジも負けずに呶鳴りかえした。

おれにゃ分からねえ※(感嘆符二つ、1-8-75)」一人の荒くれが頭の毛を※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)かきむしりながら喚いた、「全体どっちが本当のジョオジなんだ、ええくそっ、いい加減にしろ※(感嘆符二つ、1-8-75)

「よし※(感嘆符二つ、1-8-75) 皆が来ないんなら僕一人で逃げるばかりだ」先のジョオジが呶鳴どなった。

「みんなは勝手にこんな奴と遊んでいるがいいや、僕はごめんだ失敬※(感嘆符二つ、1-8-75)

 そして走り出そうとした。とたんに後からきたジョオジが躍りかかった。

「逃がしゃしねえぞ」

「なに! 来るか小僧め※(感嘆符二つ、1-8-75)

 片方がいきなり椅子を掴んで投げつけた、身を沈めてそらす、「畜生※(感嘆符二つ、1-8-75)」といいざま飛礫つぶてのように組付くみついた。

 両方強かった、荒くれ共は何方どっちに加勢することもできないで見ている外はない。

「逃げてくれ※(感嘆符二つ、1-8-75) 表の自動車で逃げてくれ※(感嘆符二つ、1-8-75) 二時になると警視庁からやってくるんだ※(感嘆符二つ、1-8-75)」先のジョオジが必死に呶鳴どなる。

「騙されるな! 此奴こいつは嘘を云ってるんだ。自動車に乗ったらおしまいだぞ!」

 後のも組伏せられながら喚いた。

「もうたくさんある※(感嘆符二つ、1-8-75)」と一人の毛唐は帽子を床に叩きつけて咆え立てた「私何も分からない、何も信じない※(感嘆符二つ、1-8-75)

 とたんに、扉口とぐちへ人があらわれて叫んだ。

「じゃあ分からせてやる、手を挙げろ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 そして、あっ※(感嘆符二つ、1-8-75) と見る間にばらばらと十名あまりの刑事と警官が手に手に拳銃ピストルを構えながら雪崩なだれこんだ。

「手を挙げろ! 動くと撃つぞ※(感嘆符二つ、1-8-75)

 それと見るより後からきたジョオジは、鼠のように素速く、地下室へ駈けおりた。

「え畜生※(感嘆符二つ、1-8-75) 逃がすものか」

 先のジョオジも脱兎のように追っていったが、しかしそこには秘密な抜け道があるのかして、残念ながら遂に見失った。

「御苦労でした、皆さん」

 地下室から戻ってきたジョオジは、頭から変装用の赭毛あかげかつらり、顔に塗った白粉おしろいをおとした、紛れもない龍介である。

「ねえ諸君※(感嘆符二つ、1-8-75)」と龍介は、手錠を穿められた黒襟飾ネクタイ組の悪漢共の前へきて云った。

「だから僕が云ったでしょう、二時になると警視庁からくるぞ! って。僕ぁ嘘をいうのは嫌いですからねえ、あははは······

 まさに少年名探偵のいった通りだった。黒襟飾ネクタイ団は正二時一網打尽に捕縛された。


 父親や伯父の子爵を前にして、龍介はこん度の事件を話していた。

「僕は喧嘩を売りかけてきた手紙を見た時に、これは僕に恨みのある奴だなと思った。恨みのある奴といえば差当さしあたりヤンセンだから、警視庁へいってきくと、十日ばかり前に脱獄したが、国事犯人だし秘密に捜索中だと云う事だった。それから桂河探偵に会うと黒い帽子を眉深まぶかにかむって色眼鏡をかけている、こいつは変装じゃないかと思ったんです。そして第一に怪しいのは此奴こいつだと決めてしまった。それから事務所を訪ねて、調べると尚更なおさら怪しいから、妹の文子を少女給仕に変装させてりこました。

 書斎へ忍びこんで朱色の字を書くと聞いた時に、伯父さんと探偵がかならず居睡りするのはきっと麻酔剤だろうと思って調べると、窓硝子ガラスの下の方にほんの小っぽけな穴が明いていたんです。鼻をあてて匂を嗅ぐと、かすかにエーテルの匂いがする。これはきっとここからエーテルを精巧な噴霧器で吹きこむんだろうと思った。そこで邸の外に張りこんでいると、中で探偵が紅茶を入れて子爵と飲む時、非常にそれが熱いので、二人が音を立てて啜る、その音にまぎれてエーテルを吹こんだことが分った。それで探偵が外の連中としめしあわせて、ことを企んでいることが分ったんです。

 それから後は訳はありません。拳骨メリケン壮太を手下に化けさせて入りこませ、また給仕になっている文子に、まずヤンセンの拳銃ピストルからすっかり弾丸たまを抜き取らせておいて出掛けたのです。そしてヤンセンの手紙をすり変えて、文子に僕の偽手紙をわたせたのです、僕の偽手紙には、全員マキシム倉庫へ集れ! と書いてあったのです。そこが奴等の集り場所だということは、文子が調べて分っていましたからね」

 父も若林子爵もただ感嘆の吐息をもらすばかりだった。龍介はやがて口惜くやしそうに附加えた。

「だけど残念なのは、あの混血児の小僧を逃がしたことですよ父さん、奴は又きっと何日いつか仕返しにやって来ますぜ······

 そしてユニフォーム包を持つと、秋の戦いの猛練習をするために、校庭の野球グラウンドへ、元気に歩いて出かけた。






底本:「山本周五郎探偵小説全集 第一巻 少年探偵・春田龍介」作品社

   2007(平成19)年10月15日第1刷発行

底本の親本:「少年少女譚海」

   1930(昭和5)年8月別冊読本

初出:「少年少女譚海」

   1930(昭和5)年8月別冊読本

※表題は底本では、「黒襟飾ネクタイ組の魔手」となっています。

※「黄色金剛石」に対するルビの「イエロオダイアモンド」と「イエロオダイヤモンド」の混在は、底本通りです。

入力:特定非営利活動法人はるかぜ

校正:良本典代

2022年6月26日作成

青空文庫作成ファイル:

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●表記について


感嘆符三つ

  

26-12、26-13、27-16、30-5、33-14、40-9、40-10、40-14、41-3、41-9、45-3



●図書カード