ネコがネズミと知りあいになりました。ネコはネズミにむかって、これからきみをうんとかわいがって、なかよくしてあげるよ、と、さかんにうまいことをいいたてました。それで、とうとうネズミは、ネコとおなじうちにすんで、いっしょにくらすことを
「だが、わたしたちは、冬になってもいいように、
と、ネコがいいました。
「ネズミくん、きみはそこらじゅう、むやみに歩きまわることはできないだろう。ネズミとりにでもひっかかるとこまるものねえ。」
このしんせつな
「こいつをしまっておくのにいい
これで、つぼはだれにもぬすまれる
「きみに話したいことがあるんだがね、ネズミくん。じつは、わたしはおばさんから
「いいですよ、いいですよ。」
と、ネズミはこたえました。
「えんりょなくいってらっしゃい。あなたがなにかおいしいものでもめしあがるときには、あたしのことも思いだしてくださいな。
ところがこれは、ぜんぶでたらめなんです。だって、ネコにはおばさんなんてひとりもないんですからね。ですから、名づけ親にたのまれたなんて、とんでもない話なのです。
ネコは、そのまままっすぐ
日がくれてから、ネコはやっとうちへかえってきました。
「おや、おかえりになったのね。きょうは、さぞかしたのしかったでしょう。」
と、ネズミがいいました。
「うん、うまくいったよ。」
と、ネコがこたえました。
「赤ちゃんにはどんな名まえがつけられましたの。」
と、ネズミがたずねました。
「〈
と、ネコは、そっけなくこたえました。
「皮なめですって。」
と、ネズミは思わず大きな声でいいました。
「それはまた、きみょうな、かわった名まえですのね。あなたがたのおうちでは、そういう名まえがよくつけられるんですの。」
「こんなのは、なんでもないさ。きみの
と、ネコはいいました。
それからまもなく、ネコはまたまた、ヘットがなめたくてたまらなくなりました。そこで、ネコはネズミにいいました。
「ほんとに、きみにはすまないけど、もういっぺん、うちのことをひとりでやってもらわなきゃならない。じつは、また
心のすなおなネズミは、すぐに
「まったく、このうまさは、ひとりで食べてみなくちゃわからんて。」
と、ネコはいいました。そして、きょうはうまいことをやったもんだと、すっかり
「こんどの赤ちゃんは、なんて名まえをつけてもらいましたの。」
「〈
と、ネコはこたえました。
「半分ぺろりですって。なにをおっしゃるのよ。そんな名まえは、あたしまだきいたこともありませんわ。だいいち、そんな名まえ、
ネコは、まもなく、またおいしいごちそうが食べたくなって、しきりに口のなかにつばきがたまってきました。
「いいことは三度あるっていうがね。」
と、ネコはネズミに話しました。
「じつは、また
「
と、ネズミはこたえました。
「きみは、そのネズミ色のあらっぽい毛の
と、ネコがいいました。
ネズミは、ネコのるすのあいだにうちのなかをきれいにかたづけて、きちんとしておきました。ところが、くいしんぼうのネコは、つぼのなかのヘットをすっかりたいらげてしまいました。
「みんなたいらげちまうと、やっと
ネコはこうひとりごとをいって、
「こんどの名まえも、きみには気にいらないだろうよ。」
と、ネコがいいました。
「こんどのは、〈みんなぺろり〉というのさ。」
「みんなぺろりですって。」
と、ネズミは大声をあげました。
「そんな名まえが
ネズミは頭をふりましたが、からだをまるくして、そのままねてしまいました。
それからは、もうだれも、ネコに
「ねえ、ネコさん、ふたりでしまっておいたヘットのつぼのところへいきましょうよ。きっとおいしいわよ。」
「よしきた。」
と、ネコはこたえました。
「きっと、きみのそのうすっぺらな
そこで、ふたりはでかけました。むこうへついてみますと、たしかに、つぼはもとのままの
「まあ。」
と、ネズミがいいました。
「いまこそ、あたしにも、よっくわかったわ。すっかりわけがのみこめてよ。あなたは、たいへんなお友だちだったのね。なにもかもきれいに食べちまってさ、
「だまらないか。」
と、ネコがどなりつけました。
「もうひとこといってみろ、おまえをくっちまうぞ。」
「みんなぺろり」と、あわれなネズミが、舌の上まででかかっていたことばを、口にするかしないうちに、ネコはネズミめがけてひととびにおどりかかりました。そして、ネズミをひっつかむがはやいか、ぐうっとのみこんでしまったのです。
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