むかし、あるところに、ひとりの女の子がおりました。この子はなまけもので、糸をつむぐのが大きらいでした。おかあさんがいくらいっても、どうしてもいうことをききませんでした。とうとう、おかあさんはがまんがしきれなくなって、あるとき、
ちょうどそこへ、お
「
と、たずねました。
するとおかあさんは、じぶんのむすめがなまけてばかりいることをひとに知られるのをはずかしく思ったものですから、こういいました。
「この子に糸くりをやめさせることができないものでございますから。この子は年がら年じゅう、糸くりをしたがっておりますが、わたくしどもは
それをきいて、お
「あたしは糸くりの音をきくのが大すきです。あの、
おかあさんは心のそこからよろこびました。こうして、お妃さまは女の子をいっしょにつれていきました。
お
「さあ、このアサをつむいでおくれ。」
と、お妃さまがいいました。
「これをのこらずつむいでしまったら、あたしのいちばん上のむすこのおよめさんにしてあげますよ。おまえは
女の子は、びっくりしてしまいました。だって、こんなにたくさんのアサでは、三百ぐらいのおばあさんになるまで、まい日朝から
三日めに、お
「おかあさんのうちを遠くはなれてまいりましたものですから、それがとてもかなしくって、まだしごとにとりかかれなかったのでございます。」
と、いいわけをしました。
お
「あしたは、しごとをはじめてくれなければいけませんよ。」
女の子はまたひとりになりますと、どうしていいのかわからなくなって、かなしみながら
三人の女は窓のまえに立ちどまって、上を見あげて、
「どうかしたの。」
と、女の子にたずねました。
女の子は、じぶんのこまっているわけを話しました。それをききますと、三人の女たちはたすけてあげようといって、
「おまえさんがわたしたちを
「ええ、そうするわよ。」
と、女の子はこたえました。
「さあさあ、はいってきて、すぐにしごとをはじめてちょうだい。」
そこで、女の子は、この三人のきみょうな女たちをなかにいれて、さいしょのへやにすこしばかり
女の子は、この三人の糸くり女をかくしておいて、お
さいしょのへやがからになりますと、こんどは、二ばんめのへやにうつりました。こうして、とうとう三ばんめのへやになりましたが、これもたちまちのうちにかたづいてしまいました。そこで、三人の女は女の子におわかれをして、
「わたしたちに
と、いいました。

女の子がお
「じつは、あたくしにはおばが三人ございます。」
と、女の子がいいました。
「いままであたくしをたいへんしんせつにしてくれておりましたので、こういうしあわせな
「ゆるしてあげますとも。」
と、お
さて、いよいよおいわいがはじまりました。そのとき、みょうななりをした三人の女がはいってきました。すると、花よめは、
「おばさまがた、よくおいでくださいました。」
と、いいました。
「いやはや、どうも。」
と、花むこがいいました。
「おまえはまた、ずいぶんみっともないれんちゅうと知りあいなんだねえ。」
それから、花むこはひらべったい足をしている女のところへいって、たずねました。
「あなたは、どうしてそんなひらべったい足をしているのですか?」
「ふむからだよ、ふむからだよ。」
と、その女はこたえました。
そのつぎに、花むこはもうひとりの女のところへいってききました。
「あなたは、どうしてそんなにたれさがったくちびるをしているのですか?」
「なめるからだよ、なめるからだよ。」
と、その女はへんじをしました。
さいごに、花むこは三人めの女にたずねました。
「あなたは、どうしてそんなにはばのひろい
「糸をまわすからだよ、糸をまわすからだよ。」
と、その女はこたえました。
それをきくと、
「それなら、わたしの美しい花よめには、もうこれからは、けっしてつむぎ
と、いいました。
おかげで、花よめはあのいやな糸くりをしないでもいいことになりました。