ある
けれども、
かわいそうな女の子は、まい日大通りへでて、
さて、あるときのことでした。
女の子は
「
こういわれて、女の子はすごすごと
やがて、ふと気がついて、われにかえったときには、どうでしょう、女の子は美しい
女の子がこの草原を歩いていきますと、やがてパン
「ああ、ぼくをひっぱりだしてくださあい。ひっぱりだしてくださあい。でないと、ぼくは
それをきいて、女の子はそのそばへいって、パン焼きにつかう小さなシャベルで、パンをひとつのこらずじゅんじゅんにだしてやりました。
それからまた、女の子はずんずん歩いていきました。やがて、リンゴがすずなりになっている一本の木のところへきました。すると、そのリンゴが声をはりあげて、よびかけました。
「ああ、わたしをゆすってください。わたしをゆすってください。わたしたちリンゴは、もうみんなじゅくしきっているんです。」
そこで、女の子が木をゆすってやりますと、リンゴはまるで雨のように、ばらばらとふってきました。女の子は、こうして木にリンゴがひとつもなくなるまで、ゆすっておとしてから、それをひと山につみあげました。そうしておいて、女の子はまたさきへ歩いていきました。
さんざん歩いたすえ、女の子はようやく一
「なにがこわいの、おまえ。わたしのとこにおいで。おまえが、うちのしごとをなんでもちゃんとしてくれるつもりなら、きっとおまえをしあわせにしてやるよ。おまえはね、(1)わたしの
おばあさんは、いかにもしんせつにいってくれます。そこで、女の子は思いきっておばあさんのいうことをきいて、このうちに
女の子は、なんでもおばあさんの気にいるように、よく気をつけました。

こうして、女の子はしばらくのあいだホレおばあさんのところにいましたが、そのうちに、なんとなくかなしくなってきました。はじめのうちは、どういうわけなのかじぶんでもわかりませんでしたが、とうとう、生まれたうちがこいしくなってきたのだということに気がつきました。ここにいるほうが、うちなんかにいるよりも何千ばいしあわせかわからないのですが、それでもやっぱり、うちへかえりたくなったのです。それで、とうとう、女の子はおばあさんにじぶんの気持ちを話しました。
「あたしはうちへかえりたくってしかたがないんです。
すると、ホレおばあさんはいいました。
「おまえがうちへかえりたくなったとは、うれしいことだね。おまえはほんとうによくはたらいてくれたから、わたしがおまえを上までつれていってあげよう。」
こういって、おばあさんは女の子の手をとって、大きな門のまえへつれていきました。
門がひらかれて、女の子がちょうどそのま下に立ちますと、
「それはおまえにあげるよ。ほんとうによくはたらいてくれたからね。」
と、ホレおばあさんはいいました。
それから、おばあさんは、女の子の手から
女の子が家の
コケッコッコー
金 のじょうさまのおかえりだあ
女の子はうちのなかへはいって、おかあさんのところへいきました。ところが、こんどは、女の子がからだじゅうに金をつけているものですから、おかあさんも妹もさかんにちやほやしてくれました。女の子はいままでのことをのこらず話しました。おかあさんは、この子がどうしてこんな
こうして、もうひとりの女の子は、おかあさんのいいつけで、
女の子は
この女の子も、まえの子とおなじように、いつのまにか美しい
「ああ、ぼくをひっぱりだしてくださあい。ぼくをひっぱりだしてくださあい。でないと、ぼくは
ところが、それをきいた女の子は、
「あたし、じぶんのからだをよごすのはいやよ。」
と、いいすてて、さっさといってしまいました。
それからまもなく、あのリンゴの木のところへきました。すると、リンゴが大声でよびかけました。
「ああ、わたしをゆすってください。わたしをゆすってください。わたしたちリンゴは、もうみんなじゅくしきっているんです。」
ところが、女の子はこたえていいました。
「なにいってんのよ。そんなことをすれば、あたしの頭におっこちるかもしれないじゃないの。」
こういって、女の子はずんずん歩いていきました。やがて、ホレおばあさんの家のまえまできました。女の子は、おばあさんの
女の子は、はじめの日は、むりにせいをだして、おばあさんのいうとおり、いっしょうけんめいはたらきました。だって、こうすれば、おばあさんがお
けれども、二日めになると、もうなまけだしました。そして三日めには、もっとなまけて、朝になっても、どうしてもおきようとはしませんでした。
ホレおばあさんの
ですから、たちまち、ホレおばあさんのほうでまいってしまって、もうはたらいてくれるのはけっこうだ、と女の子にことわりました。
それをきいて、なまけものの女の子はすっかりよろこびました。きっと、いまにも
ホレおばあさんは、この子もじぶんで門のところへつれていってやりました。ところが、女の子が門の下に立ちますと、こんどは金のかわりに、大がまにいっぱいはいったチャンを、ざあっとあびせかけられました。
「これが、おまえのしてくれたしごとのほうびだよ。」
ホレおばあさんはこういうと、門をしめてしまいました。
こうして、なまけものの女の子はうちへかえってきましたが、からだじゅう、チャンだらけになっていました。
コケッコッコー
きたないじょうさまのおかえりだあ
このチャンは女の子のからだにこびりついてしまって、きたないじょうさまのおかえりだあ
(1)ですから、この話のでどころのヘッセン地方 では、雪がふるとき、ホレおばあさんが寝床 をなおしている、といいます。