外から砂鉄の臭ひを持つて来る海際の午後。
象の戯れるやうな
畳の上に
分解しようと
私は或日珍しくもない原素に成つて
重いメランコリイの底へ沈んでしまふであらう。
えたいの知れぬ此のひと時の衰へよ、
身動きもできない
筋肉のあたりを延びてゆく······
限りない物思ひのあるやうな、
目まぐるしい蝿のひと
私は或日、砂地の影へ身を潜めて
太陽は紅いイリュウジョンを夢みてゐる、
私は不思議な役割をつとめてるのではないか。
まいまいつむりの
私は蝿の群となつて舞ひに行く。
壁の廻りの
ちよつと
窓の下に死にゆくやうな
私はいつしかその上で渦巻き初める、
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砂鉄の臭ひの